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Mark Springer - Menu [Artist S-U]



ソロピアノ作品は、一種の自画像です。一人でピアノに向かい、自分の音楽を一途に追求していくとともに、それを演奏する自分自身をも深く見つめる作業。深く深く内面に潜っていくかたわらで、単なる自己満足に陥らずに、外の世界に向けた作品としての客観性をも兼ね備えるよう、努力しなければなりません。そんなさまざまな心の動きを、演奏者とともにダイナミックに共有することができるのも、ソロピアノ鑑賞の醍醐味。

Mark Springerは80年初頭に活躍した前衛的なポストパンク・ファンクグループ、Rip Rig + Panicに在籍していたピアニストで、本作は91年発表のソロ作品。肩肘付いてうつろな眼差しを向けるMichael Nash Associatesデザインのジャケットは、まさに自画像以外のなにものでもありません。即興曲、スウィング、フリージャズ、クラシック、バラード、ジャンル不問の前衛作品など、ピアノソロの「メニュー」をまさに縦横無尽に駆け巡ります。端正なワルツ調がだんだんと崩れていき、フリーキーな連打に流れ込むなど、一つの曲の中でもめまぐるしく変化するさまは、天才の狂気というか、もう病的といっていいほど。ただ、一つ一つのタッチは限りなく軽やかで、いったん美しい旋律を奏ではじめると、その美しさは比類がない。

例えは全く悪いのですが、「アルジャーノンに花束を」の中の、人為的に作られた天才青年チャーリーが、知性の絶頂において、自らの悲劇的な未来を悟ったときに奏でるとしたら、まさにこういう音楽なんだろうと思います。


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