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The Sundays - Reading, Writing And Arithmetic [Artist S-U]

「読み、書き、算数は全ての教養の基礎」
ときどき、作品が時代を超えて普遍的な場所を占めてしまうことがあります。ほとんどの作品が時代の流れとともに忘れ去られていく中で、いつまでも人の心にとどまり、鳴り続ける幸福な作品。その幸運はなかなか狙って手に入れられるものではなく、多くの場合、偶然の要素が加わったり、製作者本人達のコントロールを超えたところの作用が働いたりします。1990年のSundaysのこのアルバムもまさにそういう作品。書こうと思っても、かなり勇気を要する、そういう近寄りがたい崇高な美しさを持ったアルバムです。

シンプルな演奏にHarriet Wheelerの透明な歌声が乗る、言ってみれば本当にそれだけなのですが、このアルバムに収められている曲に、いったいどれだけの人がそれぞれの人生の場面場面を投影し、心洗われてきたことでしょう。Harrietの視点で描かれる楽曲の数々は、少女の世界観を失わずに、しっかりと現実を受け入れて大人になっていこうとする決意に満ちています。結婚を間近に控えながらも、むかし蹴っ飛ばした男の子のことを思い出し、誰が自分を救ってくれるのだろう、と歌うI Kicked A Boyなどは、このバンドにしか作り出すことのできないもの。そのHarrietの声を支えるのが、彼女と同じくらい欠くことのできないDavid Gavurin(Harrietの夫でもあります)のギターワーク。ガラス細工のように繊細で、おそらくギターでこれ以上きれいな音は作れないだろうと思うほどです。

Sundaysはハレー彗星のように忘れた頃に作品を届け、そのまま数年間どこかにいなくなってしまう。今も活動しているのかどうかもわからないのですが、きっといつかまた戻ってくるだろうと淡い期待を抱かせ続けてくれます。15年の間にリリースしたアルバムは3つ。どれも一貫した美的世界観で貫かれており、このバンドの意外な頑固さに微笑んでしまいます。

あまり奇跡は信じないのですが、この永遠に透明であり続ける音を聞いていると、ルルドの眠れる聖ベルナデットの話を思います。19世紀に亡くなってから、全く腐敗せずにその美しさを保ち続ける聖女。ちょっと不気味ですが、あのルルドの教会で聞くにはSundaysがぴったりではないでしょうか。
「私たちは所詮、骨と皮よ。いったいどこで間違っちゃったのかしら(Skin & Bones)」


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