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The Orb - Orbus Terrarum [Artist M-O]

98年の発売当時、このアルバムには、紙パケ・透明フォルダ入りの限定仕様盤があったのですが、これが某大手レコード店で、なぜかCDシングル売り場に990円で置いてありました。あまりにスリムな仕様に店員が間違えたのだと気づき、どきどきしながら手に取った記憶があります。「間違えた店員はあとで怒られるのだろうなあ」と気の毒に思いながら、無事にレジで支払いを済ませて店を後にしたことを、今でも本当によく覚えています(お店に教えてあげるほど、慈善家ではありませんでした)。まあ、某証券会社の誤注文に乗じるのと比べれば、これぐらいは許してもらえるでしょう。

そういう大バーゲンで買ったのが申し訳なくなるくらい、Orbの数ある作品の中でも、際立ってすばらしいアルバムです。ゆったりしたリズムで幕が空けるValleyからPlateauにかけては、題名どおり、どこかの雄大な景観の中をゆっくりと河の流れに任せて進んでいくかのような、視覚的にも空間的にも広がりのあるサウンドスケープが展開されます。一つの曲の中で、音や旋律が次々に切り替わっていくのですが、河の曲がり角で山陰から次の景色が現れてくるのと同じくらい違和感がありません。さらに複雑なサウンドコラージュの効果で、飛行機で飛んでいたり、宇宙船に乗っていたり、木漏れ日が差す森の中を歩いていたり、様々な情景の中をふわふわと浮かんでいる感覚になってきます。

ジャケットのアートワークが示唆するとおり、全体が、J.R.R. Tolkienの空想の地の旅行記といった趣のコンセプトアルバムになっています。大人が引きずりこまれるようなファンタジーの世界を構築するのが極めて難しいように、こういうコンセプトに負けないだけの音を作り出すのは至難の業。それをOrbはこともなげにやってのけます。しかもエンディングは、レタスに群がるナメクジ退治に奮闘する老夫婦と、それを不気味に笑い飛ばすナメクジたちのSlug Dub。それまでの大旅行が、どこかの趣味人が作ったジオラマの中での虫たちのできごとさ、と言わんばかりの皮肉な落ち。

77分56秒。これぞまさに「Trip」と呼ぶにふさわしい内容です。


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