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Yo La Tengo - I Can Hear the Heart Beating as One [Artist V-Z]

4年ぶりぐらいにアメリカを訪れています。今ニュージャージーにいるのですが、Hoboken(ホーボーケンと読みます)のすぐ近くの町にいます。「Hobokenの近くにいる」というだけでわくわくしてしまう人のほとんどは、そこがYo La Tengoの本拠地だということを知っている人のはずです。それだけなぜかこのバンドは、Hobokenというのをことあるごとにアピールするので、よほどのところだろうと思っていたのですが、本当になんてことはない田舎の町のようです。「何?Hoboken?ここと大して変わらないよ」と地元の人が怪訝な顔をしながら教えてくれたので、間違いありません。それくらい今いる町も表現のしようのないほど平凡なところです。

Yo La Tengoのたたずまいは、まさにHobokenのように何とも表現しにくいものです。IraとGeorgiaが音楽界きってのおしどり夫婦であるとか、バンド名の由来は、ニューヨークメッツの野球選手がフライを取るときに叫んだ「I got it!(オレがもらった!)」だ、いや「More ketchup please(もっとケチャップをください)」だとか、よくわからない話が多い。本作も、90年代を代表する傑作だと思うのですが、これも表現するのがとても難しい。

インディーの傑作、という言い方ができるけれども、インディーの枠を超えて、明らかにもっと広いオーディエンスにアピールするわかりやすさ、親しみやすさがある。ポップだけどグランジだし、フォークだけどビーチボーイズだし、ノイジーだけど美しいし、童謡だけどアバンギャルドだし・・。だからといって無節操な内容ではなく、端から端までひとつの美的センスでまとめ上げられている。飛びぬけて斬新ではないけれども、ロックミュージックの何たるかを見事に体現しているサウンドに間違いない。言いえているようで言いえていない。このもどかしさの上を彼らの音楽は軽々と飛び越えていきます。

きっとこういうことを全てひっくるめて、「Hoboken」という言葉に託しているのでしょう。ほとんど実態としての意味を持たない彼らの出身地の名前は、いわばコンテンツのないブランクメディア。彼らはそこにYo La Tengoの何たるかを刻み込み、拡大再生しているのです。だってとても便利ではないですか。「君たちはどんなバンドなんだね?」という厄介な質問に対して、いつもこう答えれば済むのですから、
「僕たちはHobokenのバンドです。」


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