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Neil Young - Prairie Wind [Artist V-Z]

一聴してデジャヴ。え?Harvest?60年代回帰?あまりに優しい牧歌的なカントリーロック。しかし、しばらくすると確信が沸いてきます。これはNeil Youngが渾身をこめて放つ今日としての音であると。

Prairieというタイトル、そしてテネシー録音。ある意味では原点回帰です。しかしNeilが見つめるのは、本当のアメリカ。自分のアイデンティティとしての母国です。それを今日、この形で世に出すということ。その裏にある決意とは何か。国際社会において迷走するアメリカ。911以降何かが変わってしまったアメリカ。中途半端ゆえにある意味ではベトナムよりもたちが悪くなりつつあるイラク問題。Neil Youngは決して政治丸出しの人ではありませんが、時代には真正面から取り組む人です。反体制や、露骨な抗議活動自体が一つのエンタテインメントとして消費されてしまう欲望の世界。そんな中で、どのように思いを伝えればいいのか。Prairie WindはNeil Youngが示す一つの答えです。

「僕の友達は永遠に友達だ。まだ一緒にいるものもいるし、行方がわからなくなってしまったものもいる。全ての夢を追いかければ、迷ってしまうだけ。」(Painter)
「平原に埋めてくれ。バファローがかつて走り回り、カナダ雁が空を覆ったところに。そうすれば家のそばにいられるから。」(Far from home)
まろやかなアコースティックギター、ブラスとハーモニカの溶け込むようなブレンド。これ以上はない、というくらいよきアメリカを体現するサウンド。そこに乗るノスタルジックでありながら、真理を見通した歌声を通して、「アメリカよ、目を覚ませ」という、静かだけれども力強いメッセージを汲み取ることができるはずです。

60年代の残党の中で、アメリカの三大偏屈オヤジは、Bob Dylan、Brian WilsonそしてNeil Youngです。いずれも誰も異論を挟めないほどの偉業を成し遂げ、崇拝されていながら、あまりのとっつきにくさ、頑固さゆえに誰も近づかない、という皮肉な境遇におかれています。時には、本当にえらいと思っているの?というぐらい露骨な持ち上げ方をされたりします。まさに「崇拝」と「軽蔑」は紙一重。これが天才の運命なのでしょうか。

めったに人に会わない、というそんなNeil Young。彼がさらりと呟く「地球の端から落ちそうだよ(Feel like falling off the face of the world)」という言葉の重さ。本作は、今一度自分自身をも見つめ、「Neilよ。目を覚ませ」という作品でもあるのです。締めくくりは、2000年代の「風に吹かれて」と言ってもよい荘厳で哲学的なWhen God Made Me。
 神は僕に声をくれたのか、誰かに黙らされることを知っていて
 神は僕にビジョンをくれたのか、僕が何を見てしまうかを知っていて
 神は僕に慈悲の心をくれたのか、皆を助けるために

筆者はそんな彼の生き方に助けられてきたもののひとり。偏屈オヤジは偏屈だからこそ偉大なのだ、と信じる小偏屈なのです。


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コメント 2

Neil Young、好きな曲もありますがCDは持ってません。そんなんで、コメントしてていいのかと思いますけど、、、。「DEAD MAN」またいつか観てみたいなぁと思いました。
by (2006-02-05 17:55) 

ezsin

いえいえ、どんどんコメントしてもらった方がうれしいんで、大歓迎ですよ。

例え聞いたことがなくても、アーティストを知らなくても、さらには、聞いてみたいなあ、とすら思ってもらえなくても、それでも読んでもらえるような記事を書くのが一番の理想なんです。

作品の紹介が最終目的ではなくて、一つの作品をきっかけにいろいろなことを考えたり、面白く感じてもらったりできたらいいなあと。もちろん、これがきっかけで作品に興味を持ってもらったり、聞いてみたいなあと思ってもらえればうれしいですけどね。

例えNeil Youngって知ってても知らなくても、何かコミュニケーションが始まれば、それってすばらしいことだと思うんです。
by ezsin (2006-02-07 01:46) 

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