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Natalie Merchant - Tigerlily [Artist M-O]

映画My Own Private Idahoの中で、River Phoenixは、時と場所を選ばず突然眠ってしまう病気をもつ男娼を演じていました。同じく男娼を演じるKeanu Reevesとの殺伐とした彷徨を描くロードムービー。ザラザラした画面の感触。病の夢の中でしか見ることができない暖かい家庭、という残酷。サラリとしていながら、さっと心を切られるような切なさ。最後、Keanuの腕の中で、二度と目がさめない眠りに入ってしまうRiver Phoenixの姿は、その後急逝したという衝撃的なニュースとともに、映画と現実との境目をなくして、心の一部にこびりついてしまっています。

そんな彼のことを、「He was one of us(私たちの一部だった)」と静かに、心を込めて哀悼するNatalie MerchantのRiver。深く神経の溝にまで切り込まれる。心の奥底まで入り込んで、ずっしりとした何かを置いていく。彼女の声、歌にはそういう力があります。10,000 Maniacsを離れてひとり、決意を込めた本作には、彼女の恐ろしいまでの情の力が満ち溢れているとともに、今にも壊れそうな危うさが同居しています。

「パラダイスがある西を目指せ、そこには大きな音を立てて崩れるものがある」、と歌うSan Andreas Faultで本作は幕を開けます。サンアンドレアス断層。カリフォルニアを縦断し、数々の大地震の元凶になっているアメリカ大陸の大きなひずみ。彼女の中には、そのカリフォルニアのように夢と崩壊、愛と失意が背中合わせに存在しています。行きずりの男に、全身をこめて自分の未来を託す少女を歌うCowboy Romanceの哀しいリアリティ。書くことがない、届くこともない一通の手紙を通して歌われる情念(The Letter)。Wonder、Carnivalの戸惑いながらも前に進もうとする生命力。どれをとっても、これほどひたむきで、生々しい「生」を感じる作品を作れるアーティストは他にいません。

Natalieのピアノ、オルガンを中心に、ギター、ベース、ドラムのシンプルなサウンド。じゅうたんがひかれた居間のテーブルの周りに、皆で集まっているパンフレットの写真が示すように、ごくごくプライベートな雰囲気の中で作られています。しかし、そこから生まれる音楽は、決してこじんまりしていない。心の内面の世界を浮遊する、8分に及ぶI May Know The Wordなどは、Hotel Californiaに勝るとも劣らないアメリカンロックの真髄に触れる作品。Bruce Springsteenが大きな荷を背負うように、彼女もまた、大きな運命を背負う、かけがえのない存在なのです。


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コメント 2

好きな曲があったのだけど、、、と少し検索したら「Carnival」でした。この曲は良く流れてましたね。リバーは、かっこよかったなぁ。
レスは、私に関しては全然気にしなくてよいので、どんどん進んで行って下さいね~
by (2006-02-15 20:48) 

ezsin

レスしないと気が落ち着かないもので・・
もちろんどんどん進みますよ。
最近また少しストックできるようになってきました。
by ezsin (2006-02-17 01:01) 

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