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The Durutti Column - Keep Breathing [Artist D-F]

Vini Reillyは正しかった。26年間、彼が信じてやってきたスタイルは、古くなるどころか、2006年現在も生き生きと鳴っています。まさにKeep Breathing(息をしづける)です。リズムトラックを強調し、ギターにファズをかけ、サウンドコラージュをあしらってあるものの、基本は、弦の響きを大切にする繊細なギターワークと、控えめなボーカルワークによる私小説的世界。本作では、全体がBreathtakingな(息を呑む)美しさです。

白眉は、女性コーラスとの掛け合いを基軸に、豊かなギターの饗宴に発展していくMaggie。なんでも、14年前にラジオで聞いた学校の合唱曲をサンプリングしているのだとか。時代が流れても、変わることのないViniの価値観を実感できるとともに、サンプリングとは思えない曲の一体感に驚きます。Neilという曲も、複数の音色のギターが、精緻なレースを織り上げるように響きあう、気高さ漂う名品。Big Holeの、霧の中から聞こえてくるようなハーモニカに乗せて歌われる、Viniの少しだけ憂いに満ちた、つぶやくような声を聞くと、心が解けてきます。こんなアルバムをほとんど一人で作り上げてしまうとは。

昔から、Durutti Columnをロックと見るか、ムードミュージックと見るかという議論があります。もともとがMartin Hannett主宰の、Joy Divisionを擁したFactoryレーベルからデビューしたこともあり、前者だという声が強いのですが、逆にそれくらいムキになって主張しないと後者と見なされてしまう(後者が悪いというわけではないですが)、という変な強迫観念(?)がファンにはあります。

それくらいこだわる理由を、本作終曲のWaitingに見ることができます。
「君から届いたポストカードに写っている、幸せそうな人々を眺めている
 君はずっと遠くに行ってしまったし、もう昔に戻らないこともわかっている
 僕は、地球が緑色に変わる日を待っている
 僕は、車輪が回って君を連れてきてくれる日を待っている」
ディストーションの効いたスペーシーなギターと、忘却の彼方から届いてくるようなブラスが空間を埋め尽くす中、ぽつぽつと聞こえてくる独白。Durutti Columnは音楽に意思を託す。単に雰囲気としての音楽を提供するだけでなく、深く聞き手とかかわろうとする表現者としての自覚を持つ。だからこそ、7分に及ぶサイケデリックでファンタジックでメランコリックなサウンドは、聞き手の心を芯から揺さぶる(ロック)ことができるのです。


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コメント 4

Amazonで本作ではありませんが試聴してみました。何人かの方のレビューを読んでみたり。興味を惹かれます。
by (2006-02-22 21:31) 

ezsin

なかなか視聴できないのが歯がゆいですね。HPもあまり気合入れて作れるような感じじゃなさそうですし。大丈夫なのかしらViniさん。
by ezsin (2006-02-24 00:27) 

鯉三

Durutti Columnのアルバムでは「LC」が気に入っています。
CREPUSCULEの「THE FRUIT OF THE ORIGINAL SIN」に入っている2曲も、とても好きです。
新作を出したんですね。知りませんでした。
Vini Reillyは病弱そうだったので、元気だったことを知り、うれしいです。

しかし、ezsinさん、本当に文章がお上手ですね。
by 鯉三 (2006-04-03 02:13) 

ezsin

LC、いいですね。このころの作品はジャケットのアートワークもきれいで、大切な宝物化しています(LP!)。
Viniは当時はやせやせで本当に長生きしなさそうでしたが、HPの写真を見るとずいぶん雰囲気変わっちゃってますね。もしかして他人?ってくらい・・・

文章は読んでいただけるのかどうか、結構不安だったりしているのですよ、実は。読んでもらえるだけでもホントうれしいなというのが正直なところ。上手だといっていただけると何と反応してよいのやら・・。でもありがとうございます。
by ezsin (2006-04-04 01:31) 

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