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Robert Nighthawk - Live On Maxwell Street [Artist M-O]

シカゴといえばブルース。南部で生まれたブルースが、モダンブルースとして発展した街。Muddy WatersやBuddy Guyなどの大物ブルースメンによって不動の地位を得た街。Kingston MinesやBlue Chicagoなど、ブルースを専門とする有名なライブハウスが多く存在する今も現役の街。ところが、今のシカゴでブルースを実感するのはなかなか難しい。道を歩けば、他と変わらないアメリカの都会。目抜き通りにはブランドショップが並び、ローカルラジオ局からはTop40が流れます。Kingston Minesは観光名所化していて、CHICAGOとプリントされたTシャツに、ジーパン姿の仲のよさそうな夫婦や、バックパックを背負った一人旅の日本青年などが、ステージを見つめています。お決まりのようにSweet Home Chicagoが演奏され、みなここぞとばかり楽しそうに歌いだします。

ずいぶんと平和な景色ですが、ブルースが、時代の先端を行くスタイルではなく、懐かしさと、ものめずらしさの対象になりつつあることを示唆しています。さびしいような気もしますが、別に気にすることもないとも言えます。なぜなら昔からこんな感じだったという気がするからです。MuddyもBuddyも決して全国区的な人気を博したわけではない。ストーンズやEric Claptonにあがめられていますが、スーパースターは彼らのほうであり、それは彼らがブルースをそのまま演奏したからではなく、彼らの音楽の中に消化しきったからです。生粋のブルースメンは、今も昔もうだつがあがらず、バックストリートを放浪しているのです。

そんなミュージシャンたちがたむろしていたのがMaxwell Street。日曜日に市場が開催され、あちこちでブルースが演奏されていたらしい。本作は、そういう臨場感が味わえる貴重なライブ録音。Robert Nighthawkはそういうところでこそ本領発揮の、根っからのストリートブルースマン。スタジオ録音盤よりも、こういう作品のほうが活きがいい。まずスライドギターの鳴らし方が脂がのったようにスムース。ブルースの妖精は気まぐれで、思い通りには体に乗り移ってくれない。この喧騒、この人々、この空気。それがそろった瞬間だけ、場を支配する不思議な高揚感。良くも悪くもブルースはこういう場の空気と無縁ではいられないのです。

そんなMaxwell Streetも、シカゴ都市開発の流れの中で、数年前に取り壊されてしまいました。また、今年早々、ゴスペル発祥の地といわれたピルグリム・バプテスト教会も火災で焼失してしまいました。こんな悲しい出来事も、ブルースらしいといえば、ブルースらしい。斜に構えて歌にすればいいだけなのかもしれません。

さて、さすがにKingston Minesは老舗だけあって、夜中の2時を過ぎると様子が変わってきます。他のクラブで演奏を終えたミュージシャンが集まってきて、ジャムセッションをはじめる。入り口を見張っていた、太ったガードマンも店に入ってきて、ボーカルを取ったりする。若い新米風のベーシストがとちると思いっきりどやされたりする。それは、眠いマナコをこすりこすり、がんばって店に陣取っていて、初めてお目にかかることのできる光景です。ここから演奏される音が、ドがつくほどディープで、濃縮されたエッセンスだけというくらい濃い。ただでさえくらくらの頭が、ぐにゃぐにゃになってしまうほどすごい。特に誰に聞いてもらうためでもなく、お互いブルースを生きてきたもの同士が、ブルースで会話する。それはもはやエンタテインメントとか音楽とかではなく、エネルギーの固まり。たとえ街からブルースのモニュメントが消えたとしても、このエネルギーだけは、この街に残ってほしいと思います。


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