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Robert Wyatt - Shleep [Artist V-Z]

Robert Wyattの声は悲しい。悲しみを声に変換できるとするとRobert Wyattの声になります。かつてフォークランド紛争の際、Elvis Costelloが悲しみを込めて作曲したShipbuildingを、自分で歌わずに、歌ってもらったのはRobert Wyatt。これ以外の声の表現は考えられなかったからです。

活動は60年代にまでさかのぼります。前衛ジャズロックバンドのSoft Machineのドラマーとして特異な存在感を示す。酔っ払ったはずみで落下事故を起こし、半身不随の車椅子生活になり、一時は精神的にも荒れる。以降もシーンの表にこそ出てこないものの、Brian EnoのMusic For Airportでの伝説的なピアノをはじめ、ジャズ/ラテン/ロックいずれにも属さない孤高の音楽を作り続け、幾多のミュージシャンにとってのグールー的存在に。例えはめちゃくちゃですが、スターウォーズのヨーダ(すいません・・)のように、全てを見通し、全てを受け入れ、全てが謎のまま、豊かなヒゲを蓄えて静かに暮らす聖人なのです。

本作は、そんな聖人が、Brian Eno、Phil Manzanera、Evan Parkerなどの旧知の友人や、Paul Weller、Chucho Merchanなど「新しい友人」とともに作り上げた幸福な一枚。Robert Wyattが歌うと悲しみがそのまま音となり、それはそのまま美しい音楽となる。それくらい彼の音楽は深い。ただ気をつけなければいけません。ここにあるのは決して耳障りのいいやさしい音楽ではありません。前衛ジャズの果てまでも見てきた人の作る音楽です。時に破綻の極みを覗きこみ、時にエキセントリックの狂気に片足を突っ込みます。彼の周りに集うミュージシャンは、そのスリルがたまらない。心優しくも、頭脳が切れる、「幸福」とはそういう意味なのです。

ShleepはSleepとSheepの合成語。Enoの作るポップな音に乗って、本当に夢の中の羊に会っている気になります。September The Ninethはフリーキーなサックスと落ち着いたピアノのコントラストが見事なコンポジション。Paul Wellerの端正なギターがRobertの声といいハーモニーを見せるFree Will And Testament。本当の創造性の実験室を覗いてみたいならば、ぜひ扉を開けて欲しいアルバムです。


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コメント 4

round_and_round

はじめまして。ありそんさんの読んでいるブログから参りました。ちょうど記事が『Shleep』ということでコメントを残します。
久しぶりに、ほんとうに久しぶりにこのアルバムを聴くきっかけをありがとうございました。もうすぐ来日するウェラーが参加しているというのも、もしかして吹いてきているのかなぁ...そんなすてきな風を感じさせていただきました。
by round_and_round (2006-03-14 18:26) 

こちらでdoriさんにお目にかかれるとは!いつかそんな日が来るような気がしていました。今月は、ちっとも記事が書けず、みなさんの記事を楽しませて頂くばかりで申し訳ないです。感謝してます。

『Shleep』、HMVで試聴してみました。まずジャケットを見て、当時あちこちで話題になっていた事を思い出しました。欲しいCDを全て買うわけにはいかない私は、結局持っていないままですが。Paul Wellerも!だったのですね。試聴しただけでも、長く聴けるアルバムだろうなぁと想像できました。
by (2006-03-14 19:48) 

ezsin

doriさんはじめまして。
おっしゃるとおりです。最近、Paul Wellerと書く機会が増えています。CD棚をボーっと眺めてながら、どれを取ろうかなと考えるときがありますが、今回Shleepに手が伸びたのも、そんな風が吹いているからかもしれませんね。でも肝心のAs Is Nowをどうやって書こうかと悩んでいる間に、周りをぐるぐる回っている感じです。
by ezsin (2006-03-15 10:26) 

ezsin

ありそんさん、Robert Wyattのジャケットはどれもいい雰囲気ですよ。特にShipbuildingが入っている1980-1984が気に入っています。(すいません、リンクを探しましたが今見つかりません・・)
by ezsin (2006-03-15 10:32) 

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