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New Order - Waiting For The Siren's Call [Artist M-O]

前作のGet Readyから前面に出すようになったロック・サウンドを、さらに推し進めた作品。実は一部のファンにとっては、ときめくほどうれしかったりするのです。

Joy Divisionは、どちらかというとビートよりもロック寄りのサウンドを鳴らしていた。しかし、Ian Curtisの不幸のあとは、自分達の過去を封印するように、自分達の感情をカムフラージュするように、新生New Orderは無機質なビートにずっとこだわってきた。もちろん独自の音を獲得する意図もありましたが、それでもビートのところどころから顔を覗かせる、ロック的なもの、それもとても情緒的な響きを持つロックに、聞き手はいつもハッとしてきた。それは決して長続きせず、叩きつけるようなビートの雨音の中に、かき消されていくはかなさを持ち合わせていて、New Orderの音楽に微妙な陰影を付けていたのでした。

近作での大きな変化は様々に解釈できるでしょうが、本当のところは、皮肉に笑い飛ばすBernard Sumnerの目の中を覗き込むように、深遠としている。時代に対する感度が非常に敏感な人たちですから、一つ確実に言えることは、この音が今求められている、ということ。それが聞き手の意識的か無意識的かはともかくとして。New Orderは「聞かれない音楽」を作ったことはないのです。

Peter Hookのハイキーなベース、Bernardのギターフレージング、そして宗教的神秘性を帯びたキーボードの音色。彼らのトレードマークは、まさにこれぞトレードマークというくらい、一瞬ではっきりとNew Orderの音だとわかる。同じ楽器を使っていながら、音でこれだけの認識力を誇るのは驚愕もの。あのKeith Richardsですら、最近はギターだけで認識するのが難しいぐらいなのに。

自分達だけの音と、時代が求めるサウンド。よく考えれば、New Orderは今も昔も同じことをしてきたのでした。ビートであれロックであれ、それは常に時代から注目されてきた。注目されながらも、自分達は自分達を何も変えることはしなかった。気がつけば、唯一性を保ちながら大衆性を獲得する、という世にも希少なバンドが、大きな根を張って成長していたのです。

ごくパーソナルなレベルでのNew Orderは、不器用でぶっきらぼうで神経質だけど、なぜか離れることのできない存在。おそらくBernardの持つ人間としてのそうした弱さや頼りなさと、それがそのまま音になっていながらも、大衆性を持ってしまうマジックに惹かれ続けているのだと思います。


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いいなぁと思うのに1枚も持っていないNew Order。(信じられないですよね)CMソングにもなったし、このアルバムも欲しいと思っているのに。日本語版のクラフティーも一度しか聴いたことないし。来月買おうかなぁ。エレクトロニックもシングルのPVしか観たことがないけど、好きでした。
by (2006-03-29 22:44) 

ezsin

CMでKraftyが使われているのを聞いたときは、グッチョイス!って笑みがこぼれてしまいました。この路線の曲が多いのでおすすめです。日本語バージョンはちょっとって感じでmustではないかも・・
Electronicもいいですね。Bernardって才能あるのかないのか分からないフツーなところがエライと思う。だって歌ヘタだし、ギター下手だし。ぎこちない人って味があるじゃないですか。The Other Twoと自虐的なノリでやってしまえるGillianとStephenも素敵ですが。Hookyだけ偉そうにしてる。
by ezsin (2006-03-29 23:29) 

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