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Roxy Music - Avalon [Artist P-R]


幽玄でいて、なまめかしい。アーサー王が眠る伝説の島。そしてボサノバを踊る美女に吸い込まれていく深夜のパーティー。Roxy Musicがたどり着いた究極のサウンド。やさしい波のように押しては引いていく、やわらかなシンセサイザー。夕日に光るダイヤモンドのようなギターリフ。Bryan Ferryの夢の中からそのまま聞こえてきそうな、美しいソプラノ・ソロ。シルクのようにからだを包み込むサキソフォン。そして、抑えることのできない高揚した鼓動が、全編を通して脈を打つ。今でもこのサウンドを聞くと心が湿ってきます。

この世のものと思えない美しすぎる伝説の世界。もしかしてそれは本当にあった話かもしれない、と思いをはせる胸の高鳴りを、恋愛の官能的で狂おしい胸騒ぎと重ね合わせる。Bryan Ferryが、自分の音楽と感情を一体化して表現しようとしたときに、ごく自然に融合したテーマ。Bryan自身、どうしようもないくらいロマンチストで、夢追人。ここでも恋愛至上主義的に身も心もささげ尽くして、音楽の中に漂っています。

このサウンドが、若かりし日の生き方そのものでした。感情や高鳴りが自分の理解を超え、制御を超えてしまう。どうしていいかわからず、混乱だけが支配する日々。そういう自分を救ってくれるわけでも、慰めてくれるわけでもない。そのままどんどん混沌の中へ引きずり込んでしまう。Avalonは、天国でもあり地獄でもある。Bryan Ferryはその真っ只中で、なよなよと溶けるような声で歌っていた。出口はないけれども、そこに彼がいる、ということだけが確かに感じられた。「いつの日かダイヤモンド・レディと家に帰るのだ(True To Life)」と思いながら、気がつくと枕に顔をうずめて朝を迎えていたものです。

Avalonのあった場所はGlastonburyだといわれています。もちろんアーサー王もAvalonも心の中だけで生き続ける伝説。Glastonburyだという証拠は、何もない。あるはずがないことを、わかっていながら探してしまうのが、人間の悲しさ、おかしさ。そして、Glastonburyといえば、いわずとしれた夏のミュージック・フェスティバルの聖地。Roxy Musicは(筆者の知る限り)一度もここで演奏したことがない。頑固者でもあるFerryが、野外フェスというスタイルはRoxyに合わん、と相手にしないことが理由になっていますが、この世にあってはならないAvalon、壊してはならない夢の聖地へのこだわりなのだ、と筆者は理解したい。


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コメント 4

鯉三

Avalonのあった場所(?)Glastonburyについての話、とても面白いです。
by 鯉三 (2006-04-03 02:00) 

最初にBryan Ferryを知ったのは、ビデオカセットのCMです。映像の色あいと合わせて曲も好きで、かっこいいなぁと思いました。「More Than This」も名曲ですね。グラストンベリーってそうだったんですね。「KING ARTHUR」見たかったけどまだです。
by (2006-04-03 20:47) 

ezsin

鯉三さんもAvalonを記事にされていたのですね。偶然の神秘を感じます。これもこの作品ならでは、の作用でしょうか。
by ezsin (2006-04-04 01:15) 

ezsin

ありそんさん、KING ARTHUR確かに私も見てませんでした。アーサー王ってわれわれ日本人が感じる感覚と、英国人のそれとは違うのでしょうね。忠臣蔵みたいな心のよりどころなのかなあと想像だけしてみたりします。
by ezsin (2006-04-04 01:19) 

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