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Queen - News Of The World [Artist P-R]

いまは劇場的な世の中。テレビ画面に人質が映し出され、ハイジャック機の様子が携帯電話で伝わる時代。フィクションを超えたありえない事件がおき、64bitのコンピュータ・グラフィックが描き出すバーチャルな世界と現実とが交錯する時代。あらゆる情報が氾濫し、刺激がエスカレートしていく中で、神経は麻痺し、判断基準があいまいになってきています。

そんな時代にQueenが再評価されるのはよく理解できる。Queenほど劇場的なバンドはないからです。Freddy Mercuryのキャラクターは演じられたものではなく、彼自身の性癖そのもの。胸をはだけてオペラ歌手並みの声量でこぶしを突き上げるポーズに熱狂するとき、それは同時に、Freddyを通して見える、禁断の未知の世界に一歩踏み込むスリル感を味わうことでもあります。聞き手は彼のリアルさに惹かれる。うそか本当か見分けのつかないアブナイ劇に心酔するのです。いまの世の中で、ここまでのリアル感を与えるものは他にない。これはFreddy自身がいなくなってしまったことで消えるものではなく、むしろ彼のドラマチックな死に方で、より強固で明確な輪郭を持つようになったといえます。Queenの放つ壮大なイリュージョンに、ようやく時代が追いついた。刺激に慣らされた神経で、ようやくFreddyの全体像を知覚することができるようになったのです。

本作は、Queen流のイリュージョンで彩られた華麗な「劇」ですが、We Will Rock Youと、We Are The Championsの冒頭2曲が、あまりに傑出している。ワールド・ベースボール・クラシックスの決勝戦でも、当然のように流れていましたが、いまやスポーツ・イベントの勝利を誇示する歌として不動の地位を得ている。こんな曲は他にありません。BeatlesもStonesもすごいですが、こんな使われ方をする曲はない。そしてこんな風に歌える人はFreddy Mercuryしかいない。Mick Jaggerでも、Robert Plantでも、David Bowieでもない。We are the Champions of the Worldと臆面もなく言えるどころか、確信的に宣言できてしまうケタ違いの思い上がり。本気で歌っていること自体の痛快さがたまらない。だから、みなも堂々と歌う。これを最高のイリュージョンといわずして何というのでしょう。


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コメント 4

鯉三

1985年のTHE WORKS TOUR 大阪公演に行きました。
フレディのヴォーカルもブライアン・メイのギターも、レコードとまったく同じ声、同じ音を出していたことに驚きました。クイーンは普通に見れば、なんかちょっと変な人たちの集まりなのに、彼らが作り出す音楽の美しさに触れるとそれが気にならない...いや、これしかないという確信に変わっていくのが不思議です。
by 鯉三 (2006-04-05 00:25) 

ezsin

いいですね、ライブ。
ビデオでしか見たことがありませんので、うらやましいです。きっと盛り上がったのでしょうね。これしかない、と信じ込ませてくれる不思議なマジックをもった人たちですよね。
by ezsin (2006-04-05 01:45) 

Queenはベストだけですが、回数的には良く聴きました。フレディのキャラクターは演じられたものではなかった、という所にますます凄さを感じました。
by (2006-04-05 19:36) 

ezsin

ありそんさん:よく考えるとQueenはベストがちょうどよいと思います。誤解を恐れずに言うと、曲の出来/不出来が極端なので、Best ofは文字通り、Best ofだと思う。もっとも、その落差の激しさがQueenらしさ、Freddyらしさでもあるのですが・・
by ezsin (2006-04-06 03:17) 

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