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Pia Fraus - Nature Heart Software [Artist P-R]

実は書きかけの原稿がいくつかあります。ここに書きたいのだけれども、思い入れが強すぎて、どうにもまとめられない。My Bloody ValentineのLovelessはそんな作品のひとつ。何度も書いてはやめ、書いてはやめ。代わりに90年、Shoegazer、轟音ギターなど周辺の記事がたくさん浮遊することになる始末。

Pia Frausの新作を聞いて、これはもう無条件で筆が走る(指が動く?)。そんな周辺記事の中でも、もっとも核心近くまで迫るものだから。My Bloody Valentineの時間は、Lovelessでぱたりと止まっている。Lovelessの至福に触れてしまった人にとっては、この空白は耐え難い苦痛。その後の音を求めて、ずっとずっと悶々と苦しんできた。いつかあの感動に再びめぐり合えるのではないか、という熱い片思い。そして早や16年。Nature Heart Softwareを聞いて思わず「うそでしょ?」。これは夢か幻か。

日本盤は5月まで出ませんが、まずここで視聴してみてください。あまりにそのもの。これは反則でしょ。Teenage Girl、Chromatic Nightsなどは、ついにLovelessの音の秘密を解明しました!という感じに、見事に再現してしまっている。もちろん今までも、こういうもどきバンドや、もどきサウンドはたくさんありましたが、Pia Frausは、どこかが違う。それは音がそっくりだから、という意味ではありません。

Pia Frausはエストニアのバンド。この遠く未知の国である「エストニア」という響きがよい。メンバー6人の、いたいけな大学生、といった殺風景な風貌も○。この世に存在する人たちとは思えない、どこかかげろうのような希薄な存在感。彼らの音は、Lovelessが鳴らした音の余韻が、遠く雲のかなたに消えていく、その先の空白地帯で奏でられている。Super Timeknowing Gentlemanが、甘美に震わせる空気の微妙な色使い。Come To Meの、サウンドとほとんど溶け合って区別がつかない静寂なコーラス。彼らのテーマは、MBVが残していった大きな空白そのものを、ほんの少しだけ彩ること。そして、それは私たちが知らず知らずに積み上げてきてしまった心の空白でもある。もはや埋められるものではないし、抱えていることに慣れてしまっているもの。Pia Frausはそれでも少しだけ、やさしく揺らしてくれる。

なるほど、これがNature Heart Software。


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コメント 2

すでにあっさり「Loveless」のことを書いてしまった私は、なんだか申し訳ない気持ちになってしまいました。しかも、ただ好きと言っているだけの薄い内容、、、。いつかezsinさんの記事が読める日を楽しみにしています。いつにも増してすばらしいに違いないとワクワクします。
Pia Frausとってもいいですね!日本盤は5月とのことですので、待ちたいと思います。頭にもうひとつ浮かんだのがベルセバだったのですが、一般の方のレビューでも引き合いに出されていました。
by (2006-04-10 22:10) 

ezsin

いえいえ、気持ちはありそんさんと全く同じで「ただ好き」なだけですよ。だからというか、それすらもうまく言えないというか・・。まるで内気な中学生の片思いですね~
なるほどベルセバね。
いたいけな感じは通じるものがあるかもしれませんね。
ぜ~んぶひっくるめて、Bands with a thorn in their sidesって呼びたい感じ?
by ezsin (2006-04-10 23:58) 

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