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Donald Fagen - Morph The Cat [Artist D-F]

空恐ろしいアルバムです。前作Kamakiriadから既に13年も経っていたという戦慄の事実にまず驚愕。次にNightflyでかっこよくDJ風に決めていたFagen氏が、白髪の初老人化している写真に唖然。とどめは1977年のAjaから全くといっていいほど変わっていないサウンドを聞いて昇天-というより「やっぱり」と安心する、といった方が正しい。いまさら違うサウンドが出てきたら、それこそ天地がひっくり返るほどびっくりする。

この不変性が何よりも恐ろしい。普通13年も経って、その間に本作の根底に流れるテーマでもある911という世界の大転換を引き起こす事件があったりしたら、昔のサウンドを出すことに躊躇するはず。もちろん、その間にSteely Dan名義の作品があるわけで、全く世間感覚がないわけではない。しかし、それにしてもこのゆるぎない自信というか、無感覚はすごい。これが思いっきり聞き手に相手にされなれければ、面白いオチになるのですが、くやしいかな、見事にはまってしまう。魔法にかかったように、それまで聞いていたヒップホップやニューソウルから、ころっと乗り換えてしまう。何ともダンディーな音楽です。

プロフェッショナルに徹底的にこだわる、という背景には、極められたワザに対する絶対的な信頼がある。完璧な音と完璧なアレンジによって、音楽は普遍的な魅力を持ちうるという信念。一聴した感じソウルやジャズのようで、その実そうなっていないところも、「スタイル」ではなく「サウンド・プロダクション」という一つの仕事を極めようとしている姿勢の結果。

普通とは異なる時間軸上を移動し、流行やプロモーションといったいわゆる「マーケティング理論」を端から無視。それでも確実に成功し続けるDonald Fagenは、ポップ・ミュージック界のブラック・ホール。=この世の論理が通用しない異次元空間。全てを飲み込む強力な引力。その中心は時間が止まったように不変。そしてその仕組みはいまだに解明されない謎・・・


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コメント 2

究極のおしゃれサウンド、とか言っていいのでしょうか。「完璧」というのはこういう時に使うのですね。
by (2006-04-20 19:54) 

ezsin

つけいるスキなし、って感じですね。
ここまでプロダクションが完璧だと、いやみにならないところがある。中途半端なお金持ちだと悪趣味になるのに、ロイヤルファミリーレベルになると普通に見える、みたいな。
いずれにしても凡人は感嘆して聞き入るのみ・・
by ezsin (2006-04-20 22:22) 

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