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Paul Simon - Surprise [Artist S-U]


Paul Simonの作る音楽の素晴らしさに文句をつける人は少ないでしょう。間違いなくポップミュージックの天才的才能の持ち主。ところがそんな才能を持ち合わせていても、40年の長きに渡ってポップ・オーディエンスを満足させ続けるのは難しい。サウンドの多様性が広がる中で、彼のようなメロディとハーモニーを大切にする歌が必ずしも受けるとは限らない。ここ数年間の彼のスタンスは、そんなメロディとハーモニーをどう演出して聞き手を楽しませるかに主眼が置かれている。Gracelandもアフリカ音楽という演出を通して彼自身のメロディメーカーとしての力量をアピールしたと見ることができます。S&G的フォークをまとっていると何だか古いけど、アフロ的な装飾をまとわせるととても新鮮に聞こえた。

「Surprise」というタイトルからもわかるように、今回も何らかの新鮮味を加えないとPaul Simonといえども成功は保障されない。そういう真剣な姿勢が伝わるところにまず共感を覚えます。どんなにビッグになっても、創作に向かう謙虚さが失われてしまってはいけません。では今回のSurpriseは何か。ジャケットが示すとおり、赤子のような純真な気持ちで改めて音楽に向かう、ということが挙げられる。赤ちゃんの写真がディテールに渡るまで妙に細密なのは、ハイビジョン時代を意識してか。音の細部にわたってのこだわりが見て取れる。アコースティック楽器の音色だけでなく、背景の一つ一つの効果音にまで気を配っている。もちろんこのような音に対するこだわりは彼がずっと持っているものですが、今回はどこか尋常ではない。このことは、たぶん最大のsurpriseであるBrian Eno参加と無縁ではない。

Paul Simon+Brian Eno。おそらくU2のUnforgettable Fire以来のわくわくする組み合わせ。おおよそ想像はつく、というか期待に胸躍るその期待通りの音になっている。こういう情緒的なメロディメーカーの音の演出にかけては、Brianの右に出るものはいない。大仰にならず、感情の高鳴りを自在な音作りを通して上品に表現する。Paulにしてみれば、何でもっと早く頼まなかったのだろう、というぐらい。

2006年においてのEno起用。これはデジタル・ジェネレーションへのPaulの最大限の挑戦。Everything About It Is A Love Songはリミックスが作れるほどのやわらかいデジタル・ビート。Another Galaxyはループを使った広がりのあるコスミック・トロピカル・サウンド。How Can You Live In The Northeastはファジーなギターが震えるエレクトロ・ロック。かといってそこはこの二人、安直なエレクトロニカになどなっていない。ギターピッキングの美しさは逆に映えわたっているし、ハーモニーは円熟の輝き。

Jack JohnsonやJames Bluntを聞いていて、いいなと思いつつ、あまりの変哲のなさに、これでいいのかと落ち着かなさを感じているあなた。超ベテラン二人から届いた本作に一つの回答がある。これぞ求めていた現代の憩いでは?


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コメント 2

試聴してみました。穏やかでしなやかでありながら、力強さを感じさせる作品だと思いました。
by (2006-05-09 21:14) 

ezsin

まさに「しなやか」という表現がぴったりですね。
by ezsin (2006-05-10 00:17) 

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