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The Stone Roses - The Stone Roses [Artist S-U]


彼らの初来日公演のチケット発売日。当時はチケットぴあにかけるときは公衆電話からがいい、という噂があり、それをモロに信じて電話ボックスにこもってひたすら電話を掛けまくりました。一回目の期待で胸が膨らむ想いから、30分ぐらい一度もかからずに延々と同じ行為を繰り返す中で、だんだんと肥大化するあせりと絶望感。50分ぐらいたってもまだつながらず、いよいよ泣きたいような暴れたいような。そして1時間20分くらいたって、あきらめなきゃという理性と、現実を受け入れたくないという本能との葛藤の中で、ドアに頭を叩きつけて帰ろうかというときに、はじめてつながった電話。「チ、チケットまだありますか」「ありますよ」「・・・・・」。はずかしい話、目頭が熱くなり、声がつまり、足から力が抜け、たぶん30秒ぐらい言葉が出なかった。「もしもし」電話の声ではっと我に返り、このまま切られたら大変だ、と声を出そうとするのだけど、何だか涙声でよくしゃべれない・・・

チケットを買う段からこの調子ですから、本当に実現したライブに行ったときのことは、それはもう。あえて書きませんが。そういうバンドだったのです。Stone Rosesというのは。

5年間のブランクをはさんで、たった2枚のアルバムを出しただけで散ったバンド。活動としてはこれだけですが、シーンに、リスナーに計り知れない影響を与えた不思議なバンド。前にこういうバンドは「断定する力」を持つ選ばれし人たちだと書きました。選ばれた人でなければ、電話ボックスの人間を泣かせることなどできません。Stone Rosesが断定したこと。Stone Rosesに私たちが見たもの、それは「期待感」だっと思います。途方もない、ありえないことが実現するという期待感。それを信じ込ませるほど強い断定力を彼らの音楽は持っていた。

このアルバムから立ち昇る芳香。全てを見通す占い師の怪しい部屋に迷い込んだような、現実をぐらぐらと揺らす摩訶不思議な異次元空間。幻惑のメロディと夢幻のサウンドが、妖精のように自分の周りをぐるぐると踊りだす。そこにカラダの髄を貫くResurrectionのギターの閃光と、雷鳴のようなリズムの嵐。ただただ呆然とする中で過ぎていく奇跡的な時間。この中にいると本当に全ては変わると信じられた。いや単に思い込んでいるだけだとわかっていながらも、その思い込みにゆだねてもいいと理性を開放することができた。期待感が絶望感に変わることなど微塵も気にしないと確信できた。

今では笑い話ですが、Stone Rosesがもたらしてくれた具体的な奇跡は、あの1時間20分後にかかった電話一本だけでした。しかし間違いなく、彼らの音楽に出会うことがなければ、自分の人生は半分も面白くなかったでしょう。そしてそれは多分、絶望感に打ち負けた人生であったに違いないのです。


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コメント 2

ほんとにうらやましいです!!ライブは一度も観たことがありません。
私が初めてRosesを聴いたのは、学生時代に先輩がCDを貸してくれた1993年。すでにここから遅れているのです。でも知らないままで居たよりはいいに決まっていますよね。それ以来、ある音楽が自分にとってかっこいいかそうでないかの基準になっているのは、Rosesなんだろうと思っています。
by (2006-05-13 16:14) 

ezsin

Rosesのライブ(特に初回)は自分の中でも伝説化しているものです。陶酔状態をひき起こすと言われたResurrectionの噂が飛び交っていたのですが、いざ本当に体験してみて、まじでトリップしました。セカンドのときは意外と平静だったことを記憶しています。5年で大人になったのかなあ。

Rosesが基準。なるほど。
ゆるぎないものですよね。
by ezsin (2006-05-14 23:14) 

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