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Cocteau Twins - Heaven And Las Vegas [Artist A-C]

ビクトリア朝を思わせる装飾性。耽美的で幻想的な世紀末感。23Envelopeデザインのアートワークともども、完璧な世界観を築いていたCocteau Twinsは、80年代のインディー・シーンの一つの象徴でした。メジャーではない、という意味でしかなかったインディペンデント・レーベルを、特定のイメージで統一し、希少性とベールにくるんだ秘密主義で誇張していく、というパターンを確立したのは彼らと彼らの属していた4ADレーベル。ふわふわと浮かれて、あちらの世界にもって行かれそうになる感覚に皆が溺れていた。今からみても、捉えどころのないあいまいさのかもし出す、不思議な吸引力は健在。

Elizabeth Fraserの声と、言葉にならないあいまいな歌詞は、聞き手の想像力を掻き立て、皮膚の上を這うようにまとわりついてくる。金属的な反響音を巧みに使った室内楽的サウンドは、豪華で豊かでありながら、退廃的な香りを強烈に放っていた。

90年に入り、それまでのヨーロッパ的デカダンの世界から一変して「Las Vegas」の言葉が踊ったのが本作。アートワークもパッと明るくなり、舞台裏から生身の人間が出てきたような現実感が見えた。一瞬戸惑いながらも、Heavenまで歌いこんでしまう新しい開かれた幻想性に心奪われた。現実世界も夢にほかならないと主張するかのように、よりはっきりした音で、より大きなスケールをもって自分達の世界を展開してみせた。

世紀末から新世紀へ突き抜けた彼らは、明るい幻想を手に入れた。大きく飛躍するとともにそれは終わりの始まりでもあった気がします。終末観はいつまでも続かない。いつかは突き抜けて生まれ変わる。それとともに古いさなぎは葬り去り、忘れ去られていく。Cocteau Twinsはやはり80年代のバンドだった。Heaven And Las Vegasは彼らの作品の中でも光り輝く傑作ですが、同時にそれはSwan Songでもあったのだと思います。


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