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Morrissey - Ringleader Of The Tormentors [Artist M-O]

Morrisseyは一度も座りがよかったことがない。Tom Waitsのように居場所がないことを美徳として開き直るのではなく、居場所がないことをときには茶化し、ときにはあきれ、ほとんどのときは不機嫌な態度に表してきた。デビュー当初からシーンの中に確固たる地位と名声という「居場所」があったにもかかわらずに、です。

本作の中の「I'll Never Be Anybody's Hero Now」を聞きながら、改めて彼の変わらない資質を思う。何もNowではないじゃないの。今までHero気取りでいたことなんてないじゃない。孤高の存在として誰をも近づけず、誰にも近寄らないことで、聞き手との「正常な」関係を保ってきた。彼の歌に共感し、音楽に心酔してきたファンから見ても、その関係は密なものではなく、常にはぐらかされ、突き放され、困惑させられてきたもの。縮まらない距離。明かされない謎。それでもついてきたのは、そんな関係が何よりもリアルだったから。膨らみがちな幻想をきれいに断ち切り、「現実はこんなもの」と目を覚ましてくれることでみんな成長してきた。居場所を作ることは幻想のはじまりだと、彼はいつもわかっていた。

本人もかなり満足の本作が、彼の最高傑作なのかどうかはわかりません。確かに音楽的には今までなかったほど、Morrisseyという孤高にぴたりと合っている。ハードな音が彼の乾いた感性と見事に共鳴している。しかし、Morrisseyの歌はいつも通り浮いている。どこにも落ち着いていかない。心の奥底の冷たさはあいかわらず。「いじめっ子の大将」というタイトルどおり、迎合のかけらは微塵も見せない。聞いていてひとつも心は晴れない。もちろんMorrisseyの音楽を聴いて、心を晴らそうと思うファンもまたいない。この冷たさに嬉々とするだけなのですが。

心に刺さったトゲは抜くことができない。抜けば大量出血で死ぬし、かといってそのままで生きていくのも痛い。極端な運動制限の中でそれでもじめじめと生きていく。昔もこれからもMorrisseyは変わらないし、私たちだってもはや変わらないのです。


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コメント 2

gag_hiyokko

これまでにモリッシーについて書かれた文章の中で、最も共感できました!
by gag_hiyokko (2006-06-27 15:23) 

ezsin

身に余るコメント、ありがとうございます。
Morrisseyは20年来の「お付き合い」。思い入れも熟成されてきて、いつまでも語れちゃいます・・
by ezsin (2006-06-28 05:03) 

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