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The Jam - All Mod Cons [Artist J-L]


小学校一年から五年までロンドンのウィンブルドンに住んでいました。ウィンブルドンは言うまでもなくテニスの聖地ですが、実は中流階級の居住区。地元の子供たちとともにプライベート・スクールに通っていましたが、ポーランド人、インド人、モーリシャス人など人種は多彩。お母さんがホロコーストを経験している子もいました。そんな中で当然のことのようにサッカー(Football)をおぼえ、あけてもくれてもボールを蹴っていた。アジア人はほとんどいなかったので、ときどきいじめられた。中国人はつり目、日本人はたれ目、韓国人は横長目。どっちにしても目が細いのがアジア人。それでもサッカーがうまければ一目置かれた。別に国別のチームを作るわけではない。肌の違うみんなで二手に分かれて一日中ゲームをやっている。自分達でサッカーをやりながら、もちろんみんな好きなクラブチームがある。当時はウィンブルドンは4部リーグでめちゃくちゃ弱かったので、ChelseaやArsenalのロンドンチームをひいきにしている子が多かった。筆者はなぜか黄色いユニフォームがかっこよくてLeeds Unitedが好きだった。そして例外なく、みんなの憧れは、Wembley Stadium。そこでプレーする白いユニフォームのイングランド代表。

それ以来、どうしてもイングランドには特別な思いを持ってしまいます。日本に来ているイギリス人の子供も、心底サムライ・ブルーを応援しているはず。きっとそれと変わらない。だから今朝方のポルトガル戦でルーニーが退場になったとき、8年前の光景が目に浮かび、神からの啓示のように敗北の運命を悟った、といっても決して大げさではない。Mick Jaggerが見に行くと必ず負ける、というジンクスも再び受け入れる覚悟をした。もちろんポルトガルはすばらしいチーム。精神力だって全然強かった。イングランドは負けるべくして負けた、と頭ではわかっているのですけどね。

試合中は大声でGod Save The Queenを歌うファンですが、負けてひっそりと聞くのがThe JamのEnglish Roseではないでしょうか。もちろん筆者はイギリス人ではありませんが、この曲は第二の国歌みたいなもの。かえってイギリス人ではないからこそ、幼少の一番多感な時期を過ごした、はるかかなたの地を思う心情に響くのかもしれません。大英帝国などという大げさなものではなく、きれいな芝生の上をすべるように転がっていったボールと、それを追いかけるきれいな緑色の目をした少年達の情景。遠い遠い記憶のゆりかご。

Paul Wellerたち三人のJamは、はっきりと誇りを持っていた。自分達は自分達の新しい価値観を作っていくのだし、自分達の新しいイギリスを担っていくのだ。青臭いほど、はずかしいほど大真面目だった。早急なビートと、新世代のメロディライン。本作の一途な思いは、今も心の真ん中をスカッと突き抜けていく。余計なものは一切ない。研ぎ澄まされたサウンドは鋭利な刃物のように、今の私たちの生活にも切り込んでくる。怠けていると一発で見抜かれてしまうような。ナショナルチームが負けてくよくよしている日本人、イギリス人の背中をバシッと叩くような。

また一からやり直し。The Jamを聞いて顔を洗って出直しです。


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コメント 7

鯉三

いやー、いい記事で読み応えがありました。
Paul Wellerは今でもかっこいいですね。Jamをパンクと言ってしまったらもう終わりです。

そうか、ezsinさんはイングランドの敗退が相当ショックのようですね。わたしはアルゼンチンが負けたことをいまだに引きずっています。ドイツはやっぱり有利ですよ。でもドイツのサッカーって、面白くないですよね。
by 鯉三 (2006-07-04 02:07) 

ezsin

ありがとうございます。
そうなんです。落ち込んでます。
アルゼンチン・ショックの鯉三さんの気持ちもよ~くわかります。ここのところ悲運のチームになっていますよね。今回も完全にアウェーでやられた、という感じ。寂しすぎ。

ドイツに限らず、残ったチームはどこも正直、あまり面白いサッカーじゃないですよね。西洋的合理主義の勝利というか。やっぱ守備に徹してカウンター狙いとか、0-0 PK狙いとかは、戦術としては論理性や確率論的に正しいのでしょうが、なんだか機械みたいで面白くない。アートじゃない。その点、勝つ以前にアーティストの自覚のあるアルゼンチンやブラジルの選手の方がはるかに魅力的。でも負けちゃうんですよね、結局。

そういう意味では、マラドーナは合理性をも超越する神がかり的な力を持っていてすごかった。神の力はどんな常識をも超えてしまう、みたいな。こういう神が光臨するのを待つしかないのかも・・
by ezsin (2006-07-04 22:00) 

鯉三

自分の記事を書き終えて、おじゃましてます。
「西洋的合理主義」というもの、よくわかります。ただ、ヨーロッパの中にそれを具現化できない国(チーム)があって、それがイタリア、スペイン、ポルトガル、フランスだと思うのです。全部ラテンですね。イングランドもたとえ大英帝国であっても、できない部類です(すみません!)。これは結構根深いですが...要するに、この不器用な国々は民族ではなく、個のプライドの集合体ではないかと思うのです。決定的に違う点は、ドイツが集団でうまくまとまれる国だということではないでしょうか。
by 鯉三 (2006-07-05 03:23) 

ezsin

さすが鯉三さん、洞察力するどいですね。
確かにラテン系チームは合理的に徹しきれないですよね。
個のプライドで成り立っていると言うのは仰るとおりです。個と集団をどう両立させるかが監督の手腕なのでしょうね。

イタリアの個がドイツの集団に勝ちましたね。
by ezsin (2006-07-05 13:12) 

鯉三

イタリア、延長に入ってからの2ゴールは本当に美しかったですね。ドイツのクローゼも「相手のゴールが美しかった」と言ってました。クローゼ、ちょっと見直しました。さあ、いよいよポルトガル、そしてジダンです。
by 鯉三 (2006-07-06 01:35) 

こちらの赤系アートワークも秀逸ですね。美しいです!!
「God Save The Queenを歌うファン」見ていて、ちょっとうらやましかったです。着メロをダウンロードしてみたら、なかなかよかったです。
旅行の話を引っ張りすぎて申し訳ないですが、Leedsにも行きました。お宿の予約を友達が電話でした時、(名前ではなく)「姓がカワイイ」と宿主さんから言われて驚きました。イギリスと言っても、イングランドの範囲で、定番の所やディケンズ、キャロル、ブロンテ姉妹関連の場所など日程の許す限り巡りました。食べ物ではなぜか、ストーンヘンジのマフィンが記憶に残っています。「オペラ座の怪人」を見ていた時は、ほんとに夢としか思えませんでした。
去年からずっとウルフを読んでいるので、小説の中の昔のロンドンにも惹かれます。
Paul Wellerはどのスタイルにおいても、ひたすらかっこいい。一生ついて行きたいアーティストの中の一人です。
by (2006-07-17 01:19) 

ezsin

God Save The Queenの着メロ!そんなのがあるんだ~
「君が代」もあるのかしら。

リーズも行かれたんですね。「嵐が丘」に行くときだったのかな?私はまだ小さな子供でしたが、とっても寒くてこわかった記憶が残っている。あとで小説を知って不思議な感じでした。イギリスは文学の世界がそのまま残っていて、本当に不思議です。「オペラ座の怪人」に吸い込まれる気持ちもよくわかります。私はNYのブロードウェイで見たので、1920年代のジャズエイジの気分でしたが・・

ありそんさんお好きなのはヴァージニア・ウルフですよね。とても興味のある作家なのですが、残念ながらまだ読んだことありません。今度トライします。

ああイギリスに住みたいな~
by ezsin (2006-07-17 02:22) 

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