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Ferry Corsten - L.E.F. [Artist A-C]

トランスに求めるのは、飛びっきりのイリュージョン。踊ることも、歌うことも、ハイになることも、とにかく現実を忘れて、ひと時の快感を与えてくれること。それ以上のことも、それ以下のことも求めない。気まぐれなリスナーの、気まぐれな要求。このジャンルで成功しているDJ/コンポーザーは、そのことをよくわかっている。求められるままにメロディアス・ビートをひたすら提供しているヘビーワーカーたちです。

L.E.F.=Loud、Electronic、Ferocious(大音量、電子処理、凶暴)と題された新作を発表した、Ferry Corstenもそんなひとり。80sのウェットで重たいシンセを、ブリブリと鳴らせてひたすら盛り上げる。80sサウンドはトレンドだからと、軽く言えるものではありません。ダンスシーンの最前線で熾烈を極めるヘッドライナー競争の一端がここにある。トランスは安定期に入ったジャンルだからこそ、飽きられまいと試行錯誤を繰り返す。でもそんな苦労が見えてしまうと、リスナーは白けてしまう。表向きはキャッチーで楽しくなければいけません。本作もそのあたりの苦労をうまくカムフラージュできている。Fireのパワーポップは、しっかりとリスナーの耳を捉え、Junkのヒップホップ寄りの冒険もぎりぎりのところで踏みとどまっている。全体として、ジェットエンジンの爆風をまともに受けているような勢いがある。

Ferry CorstenはAmin van Buurenとともにベビーフェイスで、甘っちょろい印象がある。ハードコアのように完璧に機能性に徹することができない。「体を動かす」というクラブの大使命に対して、まだどこか遠慮がある。GalaxiaとエンディングのFreefallingの甘くメランコリックな旋律に、そのことがよく現れている。筋金入りのクラバーからすれば、赤面ものと言われかねないナンバーを平気でやる。というより、そこだけ妙に切実に聞こえるほど、こだわってやっている。筆者はこの妙な甘さにこそ魅力を感じる。クラブに感傷も涙もないように見えて、何かを愁いている。もしかして、激しく身を削る自分たちをも含めて何かを訴えようとしているのかもしれない。それはすぐにきらびやかな喧騒の中にかき消されてしまうのですが、意識のどこかに残る。どんなトランス状態にあっても、自分を失ってはいけない、というメッセージなのかもしれません。


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コメント 2

全然知らなかったのに、試聴してみたらどこかで聞いたことあるような印象が。あゆのプロデュースを、ってことなのでそれが関係あるのかもしれませんね。ほんと甘いメロディラインですね~
HPの邦語の直訳っぽさにうけました。
by (2006-07-19 20:40) 

ezsin

そうそう。日本人寄りなんですよ。
日本のダンスチューンの「色」を決めちゃっているところがあります。
by ezsin (2006-07-19 21:35) 

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