So-net無料ブログ作成

Chicane - Far From The Maddening Crowds [Artist A-C]

いわゆるトランス系のDJ/サウンド・クリエーターと「分類」されるChicaneことNick Bracegirdleですが、どこか一匹狼的なところがある。それも強い主張をするが故に孤立するパターンではなく、本作のタイトルが示唆するように、喧騒から離れようとする、か弱き青年的な孤独。音はマイルドで柔らかく、とても耳に心地よいのですが、どこか物憂げなのも、そんな心情が感じられるからかもしれません。

雄大な自然の風景を写し取ったジャケット・ワーク。Offshore、Sunstroke、Red Skiesなどのタイトルに見られるように、トランスを都会の生活における生理リズムと捉えるのではなく、開放感溢れる地球のリズムと考えているようです。

ゆったりと流れるエレクトロニック・ストリングス。小刻みに打ち続ける軽めのビート。木漏れ日のようにキラキラと光るピアノやアコースティックギターのアクセント。空を飛んでいるか、草原を駆け抜けているか。彼の心の中は解き放たれています。

3年ほど前に発表されるはずだった作品が、ネットで事前に漏洩してしまったことに大いに心を痛め、そのアルバムはおろか、新作すら聞こえてこなくなったChicane。最近、ようやくシングルが出ましたが、DJ界、インターネット、クラブシーンなど、取り巻くめまぐるしい環境に彼は適応できているのだろうかと心配になります。もちろん、彼は現代に生きる社会人として、逃げることなく、私たちに向けて心の開放を届けてくれています。もしかしてニューエージに鞍替えした方が居心地がいいのかもしれませんが、そんなことを彼はしない。この伸びやかな音を作り出すためには、基盤を喧騒の中に置かねばならないことを自覚しているのでしょう。


nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0