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McCoy Tyner - Sahara [Artist S-U]

学生時代に1ヶ月間ニューヨークにいたことがありますが、目的はジャズクラブに行くことと、MOMAに入り浸ることでした。連日、夜はシティーガイドで印をつけたクラブに出かけては、11時か12時くらいまでいた。さすがに帰りは怖いので、サードセットまでいる勇気はありませんでしたが、地下鉄に慣れてくればかなりリラックスして過ごせた。ちなみに、当時はジュリアーニ市長以前の、まだ荒れ放題の街だった時のことです。

忘れられないのが、Sweet Basilで見たMcCoy Tyner。ステージのまん前の席に案内されたのですが、きっと似たような日本人には同じように対応することになっていたのでしょう、3回行きましたが、毎回同じだった。目の前に演奏者がいる席とは、もちろん鑑賞する上では決していい席ではない。このあたり、お店の人はこちらをなめていたんでしょうが、少し後ろのいい席に移るよりは、汗と息が吹きかかってくるその席のほうが、はるかに面白かったので文句は言わなかった。すぐ目と鼻の先でピアノが、ベースが、ドラムスがものすごい振動で音の塊をたたき出してくる。たぶん、ジェット機のエンジンの真後ろに立ったらこんな感じなんだろうと思いながら、音の爆風を浴びた。吹き飛ばされないように机とイスにしがみついていた、という表現が大げさではないくらい。

本作は、70年代初頭に新しいジャズを目指して、ミュージシャンがいっせいに新しい試みを始めていた頃の、McCoyの門出作。フリージャズのエネルギーを、他のジャンルを侵食するような勢いでぶんぶん振り回している作品。フュージョンが面白いのかつまらないのか。その答えはこの後にだんだんはっきりしてくるのですが、少なくともここには、ジャンルの壁など気にしない、荒々しい創造の息吹が渦巻いています。日本の琴にまで手を出すMcCoyにはおいおい、と言いたくなってしまいますが、私たちの聞きなれた音色が違う解釈のもとで披露されるのは、それなりに愉快。

当時のニューヨークはとにかくテンションが高かった。道を歩いていると突然、車が歩道に乗り上げて走ってくるし、映画タクシードライバーのように、地下鉄の排気口からは水蒸気がもうもうと立ち上がっていた。それでもたぶんSweet BasilのMcCoy Tyner Trioがもっともすごかった。ジャズ・ミュージシャンの生命力のすごさ。音を産み出すためにささげられる壮絶なエネルギーには、本当に感服しました。


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