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Peter Gabriel - UP [Artist G-I]

音楽に「重量」があるとするならば、Peter Gabrielの作る音楽は、ずっしりとしたヘビー級の重さを持つ。その重さのもとになっている要素はたくさんある。音楽的には、Real Music Studioの完璧な設備と環境の中で、世界の超一流のミュージシャンを思うままに招き入れ、贅を尽くして作り上げられたサウンド・クオリティの重さが挙げられる。聞いていてうらやましくなるくらい、細部にわたってこだわりぬかれ、彼が思い描く音世界を余すところなく構築している。もともとプログレに根ざしたスケールの大きい曲を書く人ですが、その構想に負けないだけの音の厚みと深さは、まさに圧巻。

テーマの重さにおいても抜きん出ている。ダイレクトに政治的なメッセージを込めた曲として有名な、活動家Steve Bikoの殺害を歌ったBikoは、アパルトヘイトを芯から揺さぶるほどのパワーを持っていた。ワールドミュージックを、異国趣味的に扱うのではなく、真に統合された新しい音楽の創造を目指して取り上げる姿勢は、とても潔い。音楽の融合を目指すことが音楽家としての政治的活動である、と筋を通している。ヨーロッパ音楽でイスラムとの融合を歌っても意味がないことを本能的にわかっている。その上で、それしかできない自分の矛盾もしっかりと見つめている。

ひたすら重い作品を作るので、一度作ると次を完成させるまでに非常に多くの労力と時間を要する。本作は直近の作品なのですが、既に発表から4年も経っている。Peter Gabrielを取り巻く時間はゆったりと流れる。周りの時間とは、進む速度が違う。相対性理論では、質量が高ければ高いほど、その周辺の時間は遅くなる。行きつく先は、すべてを飲み込み、時間をとめてしまうブラックホール。Peter Gabrielの進む先には、果たしてどんな世界が待ち受けているのだろう。


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開いたとたんに、おぉ~って思いました。学生時代に「US」にはまって、その後最初に「UP」を聞いた時は、かなり驚きました。年齢を感じさせないというか。ピーガブちゃんこう来るとは~と。
最近ごぶさたなので、また聴いてみます~
by (2006-09-02 00:54) 

ezsin

圧倒されますよね。私も最初聞いたときはどっと疲れました・・
ピーガブさんは、インテリで紳士なんだけど、お茶目なビデオを作ったり、どこか親しみやすいところがあっていいですね。
by ezsin (2006-09-02 16:01) 

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