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Aaron Neville - Bring It On Home The Soul Classics [Artist M-O]

好き嫌いのある声です。New Orleans出身のソウルシンガーとして貫禄がありますが、高音域で不安定にビブラートする独特の歌いまわしが災いしてか、「押しも押されぬ」まで押し上げられることがない。ただNeville Brothersの角の取れたまろやかなファンキーソウルは、彼の声があったればこそ、あそこまで上品になった。無難に聞きやすいことだけが大ボーカリストの条件ではありません。

The Soul Classicsと銘打たれた本作は、ちょっとそこいらのシンガーでは怖気づいてしまう問答無用の名曲ぞろい。普通ならば1曲か2曲にとどめるはずのところを、これでもかと詰め込まれている。Aaronによれば、これらは長年彼を勇気付けてきた歌で、特に去年のハリケーン・カトリーナを通してそのありがたみをひしひしと感じたのだという。彼自身もNew Orleansの自宅を失った。災害後に精力的にこなしてきた数々の復興支援公演は、自分自身のためでもあったのだろう。しかしAaronの歌い方はそんな苦労をまったく感じさせず、気負いがない。

もちろん本作はカトリーナを意識して聞く作品ではありません。復興のため、だとか、Aaronの鎮静のためにある作品ではない。一流のソウルシンガーが、往年の名曲に独自の解釈を加え、新しい作品として届けようとしているものです。オリジナルのしがらみはきれいに取り払われ、歌の中心にある鼓動だけに集中し、自分のフィルターを通して丁寧に音を紡ぎ合わせている。

不思議な安堵感を呼び覚ます歌曲集です。聞き慣れているはずが、まるではじめて聞くように無心になれる。Aaronのひらひらと蝶のように舞う声が、そういう心境にさせる。ふと立ち止まってみたくなる。じっと腰をすえて耳を傾ける。Aaronの声の向こうに、久々に平安の面影が顔をのぞかせている。


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mintslife

こんばんは。そして、はじめまして。
アーロンの独特なヴォーカルスタイルは、好き嫌いが別れるのかもしれませんね。
土地柄、ゴスペルやR&B、更にはカントリーからの影響もあるのでしょうか・・。
確かにこれだけ上手いと、オリジナルから解放された別の曲のように聴こえてきますね。
今後とも、よろしくお願いします。
by mintslife (2006-11-01 00:10) 

ezsin

mintslifeさん。コメントありがとうございます。
アーロンのよさがもっと世の中にわかってもらえたらいいなと思います。そういう意味でも、いいアルバムを出したなあと思います。
こちらこそよろしくお願いします。
by ezsin (2006-11-02 20:07) 

波野井露楠

はじめまして。
mintslifeさん、iKOさんのところから流れてきました。
ひらひらと蝶のように舞う声…。
いい表現ですね!

TBさせていただきました。
よろしくお願いします(^^)。
by 波野井露楠 (2006-11-03 17:12) 

ezsin

波野井露楠さん、コメントとTBありがとうございます。
ちょっとしたAaronブログリンクですね!
こちらもTBさせていただきました。
ほんとうに愛に溢れた名作ですよね。
by ezsin (2006-11-03 20:58) 

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