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The Darkside - All That Noise [Artist D-F]

同名のバンドが多くて混乱しますが、こちらは90年初頭にBeggars Banquet傘下のSituation Twoレーベルに所属していた、元Spacemen 3のメンバーによるサイケ/シューゲーザー・バンド。ここまでの説明で反応のない方には、たぶん何の興味もわかないバンドのはずですが、ちょっと違った角度から見てみたい。

釣りについてはまったく詳しくないのですが、擬餌のよしあしが釣果に大いに影響するという話はよく聞きます。もちろんそれだけではないのでしょうが、ものすごくできのいい擬餌をつけたら面白いほど(面白くなくなるほど?)釣れるということはありそうです。レコードストアや、CDストアで似たようなことがあるなあと思うのが、店内に流れる音楽です。よくレジのそばに「Now Playing」とジャケットが飾ってあって、プロモのために激しくリピートされているあれです。あれを聞いて釣られてCDを買ってしまうことが結構ある。いや、たぶんものすごくよく釣れるアルバムとそうでないアルバムがあると思う。何が言いたいかというと、本作All That Noiseはめちゃくちゃにできのいい擬餌だったのです。

90年ごろ、渋谷のインポート・ショップにあしげく通っていましたが、はじめてこれが店内にかかっていたときのことはよく覚えています。冒頭のGuitar Voodooが鳴り出したとき、たぶん店内に5-6人くらいいたと思うのですが(小さいお店です)、ひとりがレジまで行って、そのNow Playingのジャケットを取り上げた。確かに「おっ、すげえ、何この曲?」と意識せざるを得ない「つかみ」を持った曲でした。2曲目の頃は、もうその人はそのCDを買ってた。次の人も手にとって眺めてた。次の人も。結局その店にいたほとんどの人が買った、自分含めて。本当に不思議だったのですが、何かに手繰り寄せられるようにCDを取り上げて買わずにいられなくなってしまったのです。

数日後に再びそのお店を訪れたときに、またかかっていたのですが、やはり数人がレジに行って「これ何てバンドですか?」とか聞いている。恐るべしDarksideと思った。これを選んだ店員もニンマリに違いないと思った。統計があるわけではありませんが、めちゃくちゃ売れたに違いありません、その店では。こういう不思議なアルバムが、世の中にはいくつか存在するのです。

当時の時代性ももちろんあります。何たって1990年です。ギターがワンワン鳴っていれば、即買いのところはあった。でもそれにもまして強烈な吸引力を持っていたのは事実。それは単にギタージャンキーを惹きつけただけではなかったと思う。

その後、何度も何度も聞いた愛聴盤なのですが、改めて聞いてみるとあっけに取られるほど単純。いわゆる音楽的な深さはない。エコー効きすぎのギターが反響する中で、つぶやき系のボーカルが単調なフレーズを繰り返していくだけ。よくもこんなのに騙されたなと思う反面、だからこそ騙されたのだな、とそのからくりに感心したりする。今でもアルバムのあちこちで、われを忘れてトリップしてしまう瞬間がある。それは音楽云々ではなく、ちょろちょろする餌に思わず食いついてしまう魚の条件反射とたいして変わらない。食らいつきながら、そんな反応をしてしまうこと自体を幸せに感じたりするんですけどね。ぱくぱく。


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コメント 2

試聴してみましたが、なるほど~と思いました。特にそれ位の年代であればきっと私も。こういう光景に出くわしてみたいです。
by (2006-10-06 00:03) 

ezsin

視聴できたんですね!あまりにマイナーな作品なので、とても聞けないだろうと思っていたんですが、さすがにありそんさんのネットサーフィン術ですね。

運がいいのか、こういう風に次々に売れていくアルバムを目にした(耳にした?)こと結構ありますよ。ときどき大失敗もあるんですけどね・・
by ezsin (2006-10-06 11:45) 

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