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Enigma - A Posteriori [Artist D-F]

Enigmaは「謎」という意味。第二次世界大戦のナチスの暗号機の名前でもあります。そしてMichaelとSandraのCretu夫婦を中心としたアンビエント・ダンス・ユニットのEnigma。ビートとグレゴリオ聖歌の合体で、90年代に一大ブームを起こした彼らは、息長く活動しています。いつも決まったアルバムの出だし。ほとんど変わっていないサウンド・コンセプト。新作を聞いて、あまりの変わりなさに面食らってしまう。いつも安定した音を届ける。それはいいことです。リラックス系のダウンテンポは、ある意味ラウンジのはしりともいえる。でも何だか聞いていると、そわそわと落ち着かなくなってくる。やっぱりどこか謎がある。

真ん中にぽっかり穴が空いている気がする。気持ちよいビートと、時代を超えたサウンド・コラージュは、その穴の周りをぐるぐると回る惑星。何かの引力に引かれて集まってきているのですが、その真ん中の正体が見えない。

抜け落ちているのはたぶん、彼らの音楽の「意味」だと思います。安らぐけれども、誰もラウンジだという人はいない。脱力系でありながら、意味不明のささやきが聞き手の心を乱す。やわらかいけれども、決してさわやかではない。いつも哀愁と夜の雰囲気を漂わせている。彼らの音楽に日は射さないのです。

気持ちいいはずが落ち着かない。それはEnigmaの音楽の意味がEnigmaのまま解き明かされないからです。これはヒーリング・ミュージックですよ、と言ってもらったほうがはるかに落ち着く。ダンスミュージックですよ。哀歌ですよ。人は自然と音楽の意味に向かってしまう。なぜこの音なのだろう。何のために聞くのだろう。

Enigmaの音楽からは、問いかけることの無意味さが伝わってくる。抜け落ちた核のままでぐるぐると回るEnigmaサウンドは、それだけで立派に完結している。逆に抜け落ちているからこそ、15年以上も回り続けられるのでしょう。意味のある音楽は、意味が成就された時点で役目を終えてしまう。意味のない音楽は、役割を終えることなく延々と続く。何だか深遠な帰着になってしまいました。

こんなことを考えているうちに、あっという間にアルバムを聞き終えてしまいます。


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コメント 2

evergreen

はじめまして!TB有難うございます。
はい、とっても共感できる記事です!
意味がない、意味を蹴散らかしているのがENIGMAだと思います。帰結はなく回帰しています、グルグルと・・・あらら、私も全く意味のないコメントになりました、すみません、ENIGMAがかなり好きです。
こちらからもTBよろしくです!
これからもよろしくお願い致します。
by evergreen (2006-10-06 22:04) 

ezsin

こちらこそはじめまして。意味性を超えたサウンドかもしれませんね、ENIGMAって。だからたくさんいろいろなことがいえてしまう。聞き手一人ひとりが自分の意味を投影してもいいのかもしれません。
こちらこそよろしくお願いします。
by ezsin (2006-10-07 07:01) 

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