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Dinosaur Jr - Bug [Artist D-F]

グランジ、シューゲーザーに悲しみを持ち込んだのはDinosaur Jrだと思っています。それまでのハードロックの常識と決定的に異なっていたこと。それは、隙間のない轟音ノイズと、どこまでも重くて激しいサウンドに「悲しみ」をたたえることができることを示したこと。マスクリンで攻撃的な姿勢の代名詞であったハードロックが、ぼろぼろの心とやりきれなさに満ちていることを暴露してしまった。そのまま轟音の中に埋没していくことで表現される悲しみは、それまでのどんな方法論よりも切迫感があり、痛々しかった。それがKurt Cobainの悲劇につながるからではなく、そもそもの発端において、これらの音楽に出口はなかった。ないところで鳴らされ始めた音楽であり、だからこそ悲痛にゆがんでいた。

Bugはそれでもポップな作品です。逆説的ですが、出口のない轟音の中で奏でられる悲しみは、それ自身が真っ白な花のように咲いている。これを開き直りと捉えるか、現実逃避と捉えるか、大きなまやかしと捉えるか。もちろん踊るようなポップではないですし、昼間に恋人と聞くポップでもありません。それでもどこか明るい。泣けるほど切ないのですが、その流れる涙は熱い。

ずっとこの音と付き合ってきて、いまだによく答えがわかりません。もしかして単純に生き残ってきてしまったもののいいわけかもしれない。死んでいたら悲劇であり、生きているからポップなのだと。本当は悲しくなんかなくて、単にポーズとして振舞っていただけなのかもしれない。

間違いないのは、こんな複雑な思いを生じさせ、10年以上経っても忘れることのできない引っ掛かりを持ち続けさせるバンドであること。脳の感情中枢にこびりついて離れず、鳴らすたびに喜怒哀楽のスイッチをランダムに刺激し続けるサウンドであること。きっと筆者の頭蓋骨に入り込んでしまったBug(虫)であり、神経回路をかく乱させるBug(プログラムエラー)なのでしょう。


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Yeah!!!!

ダイナソーJr.僕もよく分からないままずっと引っ掛かってます。もしかしたら理解しようとすることが野暮ったいことなのかもしれませんよね。簡単に理解できるようなら残ってないのかもしれないし、そのような感情を表現できるから残っているのかもしれない、と浅い考えながらふと思いました。
by Yeah!!!! (2006-10-12 21:52) 

ezsin

そうですね。簡単に理解され、消費されてしまう音楽は、一時的には盛り上がりますが、記憶には残らないのでしょうね。かといって難解すぎても誰もついて来れない。言葉にならないぎりぎりの感情のところに留まっているのがDinosaur Jrなのかもしれない。やっぱりYeah!!!!さんも同じように感じていたんだとわかって、何だか同胞を得た気分です!
by ezsin (2006-10-12 22:50) 

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