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The Arcade Fire - Funeral [Artist A-C]

Arcade Fireは、サイケの今日的な展開というムーブメントを作り出したといえます。背景にはFlaming Lipsなどの先輩格のバンドがいたことは確かですが、よりポップで聞きやすくした点に功績がある。ではサイケの今日的な意味とは何なのでしょう。多様に広がったジャンルのひとつの選択肢に過ぎないのでしょうか。

筆者はむしろ、多様に広がりすぎたジャンルの海の中で、迷える羊たちの憩いの楽園の役割を果たしていると考えます。サイケは、いろんな音を巻き込み、輪郭をあいまいにし、上下左右を逆さまにし、おおきなクエスチョンマークをそこに貼り付ける。何だかわけのわからないものを、わからないものとしてきっちりと対象化する。最大公約数的にうまくまとめてくれる行為が、あふれかえるたくさんの選択肢の中で、自己流のスタイルを貫かなければと脅迫観念に駆られた聞き手の不安をすくい取ってくれる。

しかもArcade Fireのサウンドはなよなよしている。強く自己主張するわけではない。クエスチョンマークを付けながらも、申し訳なさそうに鳴っている。Neighborhoodと銘打たれた一連の組曲は、そのまま自分ではなく、「自分の隣」を歌っている。わからないものをサイケとして表現しながら、その中心に自己を据えない。主体を微妙にずらすことで隙間を生み、聞き手の判断の猶予を与える。確信的に響かせないことで、聞き手は安心してそこに自分の想いを投影することができるのではないでしょうか。

全体としては非常にやわらかく、シルクのような風合いを持ったサウンド。フォークの風、トラッドの香り、プログレの影。丁寧に織り上げられたファンタジックな音のタペストリー。迷い疲れたときに戻っていける懐の深さを持つ本作は、リバイバルとしてではなく、今日的な文脈の中で捉えるべき作品。


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