So-net無料ブログ作成

Damien Rice - 9 [Artist P-R]


いつもの月曜日。仕事が終わって職場の人たちと居酒屋に行く。うまくいかないこと、やりたいけれどもできないこと。今日のこと、明日のこと、きっと来ないあさってのこと。いつもの会話といつもの相槌。酔いからか諦観からかよくわからないどんよりした気持ちを抱えて、駅への地下道を帰路に着く。ヘッドフォンからDamien Riceの9 Crimesが流れ出すと、周りを歩く人たちが止まって見える。ムービーのストップボタンを押したかのように、一人ひとりの動きが止まり、一人ひとりの顔が見える。Damienの洞察力に満ちた声は、そのまま一人ひとりが抱える想いや悩みを鮮やかにそこに投影してしまうかのよう。

この人の目はどこを見ているのだろう。「動物たちがみんないなくなった(The Animals Were All Gone)」。出してくれ、出してくれ、くたばれ、くたばれ、と連呼するRootless Tree。彼の視点から生まれてくる言葉はどれもが深く胸に刺さってくる。今まで刺さったことのないところに。

アイルランドのシンガー/ライター。弾き語りを基礎としながら、バンド的スケールを持つ曲までを、独特の語り口で歌い上げる。人に見えていないことが見えるから、景色が止まり、言葉が力を持つのだろう。そしてその分、音が重い。フォーク調でありながらブルースのような質感をたたえる。テーマと言葉と音とをひとつの象徴的な形に統合するずば抜けた才を持っている。

まだ月曜日。金曜日の夜ではない。明日もあさってもこの地下道を歩くんだなあと思う月曜日。そんな現実の重さをそのままDamien Riceの音楽に重ねてしまう。9のサウンドが持つ重さに重ねてしまう。それは絶望の重さでも、苦労の重さでもない。ちょうど毎日の生活の重さとつりあっている感じ。彼は言う「泣かないで、眠りなさい(Sleep Don't Weep)」。この感覚がこれだけ真に迫る理由なのだろう。そんなことを思う月曜日なのでした。


nice!(1)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:音楽

nice! 1

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0