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Jeff Beck - Jeff [Artist A-C]

生まれて初めて買ったハードロックのアルバムは、Jeff Beck GroupのBeck-Olaでした。何か高尚で、難解で、ありがたいものに触れるかのような面持ちで大真面目に接したものです。特にハードからソフトまでの音域を縦横無尽に暴れまわるRice Puddingから受けた衝撃は大きく、思えばその後の自分にとっての「ハードロック」の基準となりました。

Jeff Beckは器用か不器用か、という議論があります。ハードロックからジャズ、ファンクまでを自在にこなす演奏家としての器用さか。理想に合わないバンドメンバーをころころと代え、頑固なまでに自己のスタイルを貫こうとする表現者としての不器用さか。ある意味では両方なのですが、基本は筋金入りの不器用ものだと筆者は思っています。

中期のジャズ/フュージョン系の作品も、初期そして最近のハードロック系の作品も、器用にこなしているように見えて、実はぜんぜん器用ではない。どんな作品からも強烈に漂ってくるのは「Jeff Beck」という個性です。彼が鳴らすサウンドは、ジャンルの枠にはまるものではなく、ジャンルを超えて主張する動かしがたいエゴを持つ。どうやっても彼のギターは前面に出てしまう。

最新作の本作では、テクノやヒップホップ、インダストリアル系のエレクトロニカなど、現代的な音に積極的に取り組んでいる。特に打ち込み系に仕込まれた彼の鋭角的なギターリフは、Chemical BrothersやCrystal Methodなどがちんけなまがい物に見えるほど決まっている。Trouble Manの冒頭などは、チェーンソーで電柱をなぎ倒していくかのようなとんでもないカタルシスを撒き散らしている。そして、そのどの瞬間も、ジャンルを蹴散らすほどの「音圧」が作り出しているのです。

これは音楽のひとつの理想系。ギター一本でなせるすべてを超えた存在としての音。ずっとずっとJeff Beckはひたすらそのことだけを目指して音楽活動をしてきた。バンドという盟友も、商業的成功という褒美もかなぐり捨てて、そのイデアとしての音だけを求めてきた。

Rice Puddingがズドンと腹の中に塊となってぶつかってきたときから、ずっと気になってきました。その得体の知れない塊は、今になっても得体の知れないまま。Jeff Beckの頑固な音の塊としてそこに巣食ったまま。それは私たちロック・リスナーにとって、かけがえのない誇りでもあるのです。


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