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T. Rex - Electric Warrior [Artist S-U]

考えてみれば20世紀は過ぎ去ってしまった。20th Century Boyは誰だったのだろうと考えた場合、言いだしっぺのMarc Bolanその人だと思う人はかなりいるのではないでしょうか。「20世紀の」と豪語するハッタリがさまになる役者っぷり。金ぴかに飾られた幻覚の世界に民衆を吸い込む魔力。妖しさと毒とあぶなさを綱渡りのような緊張感の中に共存させるバランス力。そしてすべての年輪の形跡を混乱させるピーターパン的少年性。どんな言葉も当てはまりそうで、どんな言葉も足りない。だから20世紀の少年と呼んでおこう。少なくとも筆者はそういう風に考えます。

筆者のT.Rex観は、本作のLife's A Gasで始まり、Life's A Gasで終わる。「そんなことは関係ないよ、人生なんてガスなんだから」。このフレーズを聞いた瞬間、存在の耐えられない軽さの「耐えられなさ」が、空気が抜けていくようにスーッとなくなっていきました。すごくすごく楽になった。間違ってはいけませんが、「人生なんて意味がない」と言っているのではない。Life's Empty(人生は空虚)ともLife's A River(人生は川の流れのように)とも言っていない。どちらにも共通する断定や達観はない。「ガス」。実体はない、目に見えない、どこからどこまでかがわからない、霧散し消える、でもそこにあるとなぜか知らないがわかる。そんなとらえどころのなさ。淡く、何にでもなりうるガスの人生だからこそ、真っ赤な口紅と銀ラメ・ジャケットの人形になり得た。真顔で魔術師との交流を語れた。

Mambo Sun。近所のおばさんの高笑いのようなバックコーラス。蚊が鳴くようなストリングス。イリュージョンであることをそのまま見せても平気なのは、全てガスだかと割りきっていたから。全ては自在なんだ、中身はないけど。Marc Bolanの生き方はとてもシンプル。

そんな彼の音楽の中核にあったのがブギであることがまたわかりやすい。ブンブン、ブンブン。人生なんて、自分なんてガスだからと考える人にとって、自分だと認知できるものは何か。実体のない中で確かに感じられること。それは生きているという「鼓動」。肉体でもない、頭脳ですらもない。ただズンズンと響く命のリズム。Get It OnやMambo Sunの胡散臭いサウンドの中で、まっとうに響いているのは、ブギの鼓動だけです。きっとMarcはそんな鼓動のみに反応し、そこにだけ自己を置き、あとはガスの雲で全てを覆ってしまった。

本当にガスのように霧散してしまったことでT.Rexは終わります。ちょうど「存在の耐えられない軽さ」が交通事故で終わるように、Marcも消えていった。ガスなのだから必然といえば必然。彼にもわかっていたような気がする。

20世紀にはティラノサウルスが現存した。ジュラシック・パークの話ではない。本当に1970年代のイギリスに生存した。何だかガスのようなものでできていたけれど、ちゃんと生きて動いていた。その証拠を、今でも大きな鼓動として私達は聞くことができるのです。


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