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ABBA - Gold [Artist A-C]

暮れが近づくと、必ずベスト盤が出回る。レコード会社の安易な商売心がむき出しのベスト盤を筆者はあまり評価しない。否定するわけではないけれども、やはりその安易さ=ひとことで言えば「おいしいとこ取り」、が馴染まない。たとえOasisであっても、Paul Wellerであっても。ただし例外がないわけではない。ABBAはその筆頭に挙がる。むしろベストこそABBAだと思う。ベスト・オブ・ベストであればあるほどABBAらしくなる。なぜなのだろう。

それはひとえにABBA自体がおいしいとこ取りグループだったからです。非の打ち所のない完璧なポップチューン。誰がどう聞いても楽しくて口ずさんでしまう。よほどのひねくれものでない限り、嫌いだとは言っても、ABBAの楽曲が明快なポップスだという意見に異を唱える人はいない。ではABBAがポップ・ミュージックを発明したかというと、事情は違ってくる。ABBAの前にポップスがなかったかというとそんなことはない。ABBAに新しさがあるかというと、実はない。批判を恐れずに言うと、ありきたりの素材を使いながらも、これ以上考えられないくらいに美しくつなぎ合わせ、まとめ上げること。ABBAが秀でていたのはこの一点においてであったと思う。これは決してネガティブな意味で言っているのではありません。

メロディの起承転結、コーラスワーク、アレンジ。どれをとってもそれまでに発明されたポップスの定石を使いながらも、どうしてなんだろうと思うくらい、組み合わさった楽曲が放つ輝きは格別のものがある。おいしいところだけをすくい取ると、こんなにも違ってしまうものなのか。

実は完璧なおいしいとこ取りなんてことはむちゃくちゃ難しい。そこそこの新しいものを生み出すよりもはるかに難しく、才能を要する。その点、ABBAの力量は本当に群を抜いている。BeatlesやElton Johnのソングライティングと、もちろん同質に比較できるものではないけれども、他を寄せ付けない点においては比肩するものがあるといえるのではないでしょうか。

もともとおいしいとこ取りの楽曲から、さらにおいしいところだけを抽出していく。そうやって精製していく過程で、ポップスのエッセンスがどんどん純化されていくのを目の当たりできること。ABBAのグレーテストを鑑賞する醍醐味はそこにある。ABBAが、ベストでよりABBAらしくなるのも同じ理由による。

Goldはひとつの臨界点で、たぶんこれ以上に純度を上げることはできないでしょう。ここまでくるとユークリッドにならって、ポップスの「公理」といってもいいのかもしれませんね。


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