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Gerry Mulligan - Night Lights [Artist M-O]

筆者はたぶんGerry Mulliganの「演奏」を聞いていない。もちろん本作での優しい語り口を無視しているわけではない。ただやはりバリトン・サックスという楽器の「音触」を楽しんでいるのだと思う。アルトでもテナーでもなく、ほどよい中低音域の深みのあるバリトンの音色。これがたまらなく心地よい。プレーヤーが楽器を手に取るとき、それが特に管楽器の場合、自分の声の代わりとしてそれを使っているのは間違いない。Gerry Mulliganがどんな声の持ち主だったかはわかりませんが、きっとこんなバリトンだったに違いない。いや、そうでなかったとしても、わたし達はもはやこの音色しか彼の声として受け入れないでしょう。

本作ではトランペットはChet Bakerではなく、Art Farmer。高音域のトランペットとバリトンの絶妙なコントラスト。低音をさらに支えるBob Brookmeyerの長尺のトロンボーン。ショートストロークのJim Hallのギターが高音域をさらに鮮やかにする。全ては音色の配置から始まっていると感じてしまうのは筆者だけでしょうか。

「クール」というとき、そこに普通とは違う視点で捉えるニュアンスが含まれています。みんなが「熱く」なっているときに、ひとり「冷めて」いるような独自性。Gerry Mulliganのクールとは、ジャズを客観的にインテリアでも見るように眺めることだったのではないでしょうか。言いかたを変えれば、奏者の演奏のぶつかり合いというより、空間における様々な音色の配置と捉える。本作がかもし出す安定感や安心感、さらには精神的な落ち着きは、そんな視点があるからこそ生まれ得ているのではないか。

ただ今風でいうところの「ラウンジ」とはちょっと違う。インテリアはインテリアでも、曲線のアールのディテールにまでこだわる。表面の光沢の微妙なくすみにまで気を配る。つまり配置された音色が美しく輝くためには、高度に洗練された演奏力と、叙情性豊かな歌心が不可欠であることをしっかりわかっているのです。


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