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James Brown - Greatest Breakbeats [Artist A-C]

映画「Ray」を見ていません。いい映画に間違いないのですが、いい悪いの問題ではありません。同じようにThe DoorsもNirvanaの映画も見ていない。理由は簡単で、Ray Charlesの人となりを映画としてみたくないから。Jim Morrison、Kurt Cobainを回顧的に「人間」として振り返ることをしたくない。興味があるのが、究極的に音楽だけだから。極論すれば、人としてどうであっても関係ない、音楽さえすばらしければ、と思ってしまう。思いたい。逆に人となりをフォーカスしぎることで、音楽にバイアスをかけたくない。まあ、ムキになるほどでもないのですが。ごめんなさい。ちょっと荒れてます。

James Brownの映画も何となく想像できる。時代を動かすほどの才を持ったミュージシャンが、ドラッグに手を出し、妻に暴力をふるい、犯罪まで犯して刑務所生活を送る。常人の理解や、単純な善悪の基準を超えた孤高の人物描写。いかにもOliver Stoneが取り上げそうな設定。これもはっきり言って見たくない。どんな私生活を送り、製作の裏側に何があったのかを探ることに意味がないと言っているわけではない。ただ、残された音源の中から浮かび上がる、音楽の中心にいる個性としてのJames Brownが一番重要であり、それだけを見つめていたいと思うのです。

では、彼の真骨頂であるライブパフォーマンスを含めた音楽の中心にあった個性とは何か。筆者は「Godfather of ハッタリ(bluff)」ではないかと思う。彼の音楽は、世界を巻き込んでの巨大なハッタリだった。何とも乱暴な表現ですが、ネガティブな意味も、ポジティブな意味も含めて、そんな実感がある。

まず強引。ソウルもブルースもファンクも、すべてJB色といえるものに塗り替えてしまう。彼の指示のもとに統制されたバンドは必ず独特のうねりを生み出し、彼の声は、アクセントの付け方ひとつで、いつでも強烈な顔面パンチとして機能した。「ゲロッパ」と叫ぶだけで音楽にしてしまう才能は、才能といっていいのか疑うほど、マジカル。

あと、やはりファンクがいちばん強烈だと思うのですが、彼の音楽に乗せられるとき、きっと必要以上に盛り上がっている。延々と繰り出される気持ちいいリズムと、全身のつぼを次々押していくほど効果的な彼のボーカリゼーションとに身をゆだねるとき、音楽的な快感だけでなく、もっと肉体的、精神的な高揚感を感じてしまう。冷静に考えればそんな風になるはずがないのだけれども、気がつけば体が、頭が異常なハイになっている。だからステージの大げさな演出に、みんな狂喜乱舞してしまう。

そんな効果をわかった上で、確信犯的に大口をたたいたり、演出を大掛かりにしていく才能もまた天才的。彼が「Soul is James Brown, Blues is James Brown, Funk is James Brown」というとき、そのむちゃくちゃなステートメント自体が音楽のように聞こえる。無謀を肯定することが「James Brown」なのだから、パラドクシカルに彼の発言は正しい。正しいから堂々と響くし、堂々と響くものはいい音楽になってしまう。

これを「ハッタリ」と言わずに何と言うのか。こんなハッタリをかまし、ねじ伏せてしまうことができるのはJames Brownをおいて他にない。そして彼のハッタリを機能させていたのは、人を正常状態のレールから脱線させてしまう、尋常ではないJBサウンドに他なりません。

哀悼の意をこめるときは、代表曲を並べるものです。もちろんLive At The Apolloでも、Sex Machineでも、Please Please Pleaseでもいいのですが、ここはマイナーな本作を選んでみました。コンピレーションとしてもやや異質。ただこだわったのは、現代との接点。クリエイターたちがこぞってサンプリングする楽曲群。ヒップホップ世代にも通用する神通力。先端クリエーターが飽くことなく使い続けるという事実が、何よりも雄弁に彼の音楽の偉大さを証明している。Godfather死すとも、ハッタリは死なず。彼の存在は消えやしない。「Music is James Brown」なのですから。


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Yeah!!!!

ハッタリですよね。やたら胡散臭いんだけど、凄く楽しい。JBはファンク云々というよりもう1つのエンターテイメントなんだと僕は思います。亡くなったのは悲しいですが、なんかこうやってポックリ逝くのもJBっぽいな、なんて思ったりしました。

確かにそうかもしれませんね。レイもラスト・デイズも観ましたが、役者の演技は上手いなあ、と思ってもアーティストの音楽の感動とは全く比べものになりませんでした。人となりを知らないからこそのロマンも生まれますしね。長々と失礼しました。
by Yeah!!!! (2006-12-28 16:03) 

ezsin

確かにJBそのものがひとつの大きなエンタテインメントですね。死に方もエンタテインメントのひとつみたいな。きっと天国でもじっとはしていないのでしょう。

ごめんなさい。映画は映画ですごくいいんだと思います。自分が最近見てないので、すっかりひがみっぽくなってしまいました。演じる役者も大変だと思いますよね。背負うものが大きいから。でもそれぞれよくわかってやっているんだろうなあと想像します。

Yeah!!!!さんおっしゃるように凄く楽しい人だったから、あんまり悲しんだりしないほうがいいのかもしれませんね。そう思うと少し元気になってきました。
by ezsin (2006-12-28 21:35) 

鯉三

アーティストの伝記的な映画、わたしもあまり見ません。つい見たくなりますが、その人の生い立ちについては必要最小限の説明だけで、あとは音楽そのもので感じたいと思っています。JBのドキュメンタリーも見るのは今回で二回目だったのですが、なんか「めちゃくちゃな人」という印象が先立ってしまって、音楽の凄さに迫れていない。それは当たり前なんですけどね。

むしろ、ふっと職場のFMから流れてくる彼の曲に、一瞬空気の揺れを感じ、胸が熱くなりました。ジャンルを越えてしまっていて、それは「JB」としか言えない、なにかだったのです。
by 鯉三 (2006-12-29 00:33) 

ezsin

ラジオから流れるだけで場の空気も、人の心も変えられる。JBの音楽ってすごいですね。きっとどんな映像もドキュメンタリーも追いつくことができないのかもしれませんね。
by ezsin (2006-12-29 20:37) 

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