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400 Blows - ...If I Kissed Her I'd Have To Kill Her First... [Artist Other]

「大人は判ってくれない」のモノクロのポスターが今も部屋の片隅に立てかけてあります。ジャン・ピエール・レオーの哀しげな表情。やりきれなさの先に彼は何を見ていたのだろう。映画のエンディングでスティルとして永遠に封印されたように、その答えを誰も知らない。

この映画の原題Les Quatre Cents Coups、英題400 Blowsを冠したバンドはいくつかありますが、本作を1984年に発表したのは、英Illuminated Recordsに在籍していたインダストリアル・ファンクの3人組。くしくも1984年はフランソワ・トリュフォー監督が亡くなった年でもあります。

まるで暗黒の精神世界へ誘う合図のように、太く重いベースが響くファンク。ボイスコラージュや、ノイズの断片の寄せ集めは、当時のインディペンデント・アンダーグラウンドシーンの特徴。400 Blowsも、寒村を吹き抜ける木枯らしのようにそれらのノイズを無造作に配置していく。Men Of The Divine Wind (The Kamikaze)と題された曲で、ようやくかすかな陽光が指すように、やわらかいシンセサイザーのメロディが顔をのぞかせる。

彼らにとってファンクは踊るためのものではない。パンクの熱狂が醒め、変わり栄えしない現実の前で、突破口を求めてもがくミュージシャン達。メインストリームからずぶずぶとアンダーグランドに沈みこんでいく中で感じる閉塞感と、それでも何かがあるはずだと創作活動に打ち込む彼らにとって、ファンクはひとつの希望だったのだと思う。パンクの時代の3コードロックンロールは機能しなかった。その打撃の中で、新たな可能性をファンクやダブの中に見ていたのです。

しかし時代は変わったものです。当時は暗く、とても表で聞けるような扱いを受けていなかったインディーサウンド。サブカルチャーが明確にメインストリームと区分けされていた時代。今聞くとぜんぜん深刻ではない。例えば本作の上にラップをかぶせれば、クールなヒップホップとしてビルボードにだってランクインできそう。それだけ階層の解体が進み、表現のフラット化が実現されている証拠。400 Blowsを受け続けて、音楽は本当にたくましくなったものです。

さて、本ブログも400個の記事がたまりました。どんな400 Blowsを見舞わせてしまったのか気になるところではありますが、願わくば小さくてもポジティブなインパクトを与えるパンチであり続けたい。決してアントワーヌ・ドワネル(レオー演じた主人公の名)を傷つけたようなブロウではなく、がんばれと背中を押す叱咤激励の手のような。


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コメント 2

400個もの記事!すごいですね。本のように、また読み返したくなるような記事がたくさんですね。これからも楽しみにしています。
それでは、よいお年を~
by (2006-12-31 23:45) 

ezsin

ありそんさん、あけましておめでとうとございます。
塵も積もれば山、という感じでしょうか。
ご期待に沿えるようにがんばりますね。
とりあえず500回を目指すかな。
by ezsin (2007-01-01 17:12) 

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