So-net無料ブログ作成
検索選択

Christina Aguilera - Back To Basics [Artist A-C]

いやあ、びっくりしました。すごい作品です、これは。
まず企画がぶっ飛んでいる。下着同然で歌っていた女の子が、突然50年代のジャズ・ソウルですよ。ブルースまで歌っている。まるで倖田來未が古賀政男集を歌うようなもの。それも2枚組みで。こんなのありえない。普通は企画段階でボツですよ。だってあまりにリスキーじゃないですか。今までのイメージとあまりに合わない。まさかBarbara Streisandになりたいわけじゃないでしょうに。

ところがこれがぜんぜん普通のジャズソウルではない。レトロ趣味にもトリビュートにもなっていない。かといってこれが今のトレンドのポップ・ソウルなのかというと、そうでもない。昔の文法に基づく歌曲なので、新しくは聞こえない。それでいながら圧倒的に新鮮なのです。古くもない、新しくもない。にもかかわらず何だか違う存在感がここにはあるのです。

これを彼女の「歌唱力」のなせる業だとは思わない。歌唱力というと平易すぎる。どこか絶対的な基準に対しての評価のようで、違う気がする。何オクターブをカバーしているというテクニカルな話ではない。そんなものではないChristina Aguileraの中から出てきているもっと大きなもの。筆者はこれを「規格外」と呼びたい。

彼女のデビューアルバムは素晴らしい出来でした。ムーランの主題歌を歌い、大ヒット曲を従え、たくさんのプロフェッショナルがよってたかって、成功しないはずのない完璧なポップアルバムを作った。いわばすべてが高度に計算され、寸分たがわず作られた超「規格内」の作品だったわけです。だからものすごく楽しいけれども、スリルも面白みもはっきり言ってなかった。

そんな彼女がビキニ姿で踊りまくりだしたのは、確かに驚きではありましたが、ポップ・アイドルのひとつの進化系としての「規格」の範囲内だった。だからこれも大いに受けましたが、「所詮アイドルなのよね」という認識を超えることはなかった。

それがここにきて急に歯車が違うように回りだした。誰も予想しないような方向に向かって飛んでしまった。完全に規格を超えて、私たちがはめようとしていたルールをぶち破ってしまった。まるでテニスコートに野球バットを持って現れ、相手のサーブをカキーン(パコーン?)と場外に打ち返して、場外ホームランだと両手を挙げてコートを回っている選手を唖然として見つめる観客のように、私たちはあっけにとられてしまっている。

この選択が彼女自身の意思によるものなのか、これすら実は企画化されたものなのかはわかりません。ただ確かなのは、規格外の大きな一手はとてもリスクが伴うものの、これにチャレンジするのが本当のポップアーティストだということ。テニスコートでホームランを打つことの素晴らしさを見せてくれるのが本当のエンタテイナーなのです。

いい例がMadonnaです。単なる成り上がりの踊り子としてしか見られていなかった彼女が今ある姿になったのは、この規格外の挑戦を繰り返し、つど私たちを唖然とさせ、ポップの領域そのものを活性化してきたからに他なりません。

Christina Aguileraからそんな規格外が飛び出したことは、大きな驚きであるとともに、ミュージックシーンや私たちにとってとてもうれしいこと。Back To Basicというスタイルをとりながらの革新は確かに今まで誰も試みたことはなかった。これが一過性の偶然なる踏み外しなのか、本当に大きな歯車が想像しない方向に回りだしたのか、今しばらくわくわくしながら見守っていたいと思います。


nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:音楽

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この記事のトラックバックURL:
※言及リンクのないトラックバックは受信されません。