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Azam Ali - Elysium For The Brave [Artist A-C]

イラン生まれ、インド育ち、アメリカ在住。自身の音楽的本能に従ってこの道に入ったというAzam Ali。伝統的なイスラム音楽を基盤にした作品もありますが、ここでは英語の歌詞を歌うなどちょっと違う。まずPeter GabrielやMassive Attackに近いロック的な音の感触に驚かされる。ベースを基調としたリズムに、空間的で重量感のあるサウンド。明らかに「西洋世界(アメリカ)にいる事実」が作らせた作品だとわかります。

Elysiumとは「祝福された死者のための楽園」。勇敢なものたちの天国、のタイトルにこめた想いとは。歌詞をしっかりと聞いていないので推測になってしまいますが、イラク情勢がどうしても頭に浮かんでしまいます。

もちろん、そんな短絡的な聞き方を彼女は容認しないでしょうが、創作活動に何らかの影響を与えていると考えるのは、自然な流れ。むしろ彼女のアイデンティティにかかわる問題として避けては通れないはずです。

ここでしっかりと彼女は彼女の歌を歌っている。英語であろうが母国語であろうが、彼女の声はイスラムの音として響く。捨てようとしても、隠そうとしても、はっきりと現れてしまう自分の個性を彼女は自覚し、そこにしっかりと立脚している。ロックサウンドと伝統唱法の明確な対比は、音にメリハリを持たしているだけでなく、明快な意思を感じさせて気持ちいい。

これはPeter Gabrielとは前提も、目指すものも、アプローチも違っていて、とても興味深い。西洋的な価値観の中から、壮大な統一を目指すPeterに対し、Azamは対立する世界の構造の中に、またがるように存在する自分というものがまずある。その視点から見る未来は、決して晴れやかではない。いつまでも相容れないものとして並行しつづける2つの価値体系が、本作の中で象徴的に提示されている。

彼女が目指すのは、相容れないままでも共鳴し合える新しい音楽の創造なのでしょう。本作で聞くことのできる音の統一感は、そんな想いが理想主義的ではないことを示している。ロックとイスラムはひとつにならなくても、美しい音楽を奏でることができる。そう示すことが自分の存在意義を確認する唯一の方法であり、そうすることでしか「勇敢に死んでいった双方の民」を弔うことはできない。これが本作のテーマです。

I Am A Stranger In This World。7分半にわたる力強いロックビートの上を漂うAzamの幽玄な歌。ここに悲観的で被害者意識的なニュアンスは微塵もない。むしろ自分の特異性に対する誇りがひしひしと伝わり、感動を覚えずにいられません。


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コメント 2

視聴してみました。CDでもそうだと思いますが、ライブだと一層この世界にどっぷりはまり込むのだろうなぁと感じました。
by (2007-01-17 20:23) 

ezsin

なるほどそうですね。空間自体が異次元っぽくなるのでしょうね。
HPにライブ映像がありますが、そんな雰囲気が伝わってきます。
by ezsin (2007-01-17 23:51) 

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