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The Shins - Wincing The Night Away [Artist S-U]

この音はRadioheadの先を行っている。Radioheadの到達点に既にたどり着いている。今までに聞いたことのない至福の音に浸りながら、答えはここにあるのかも、と打ち震える。The Shinsの新作を耳にしての素直な感想です。

Radioheadは言ってみれば、すべての音楽スタイルやロックの方程式をかなぐり捨て、新しい音楽を求めて船出したグループです。その先に何が待つのかわからない中、誰も試みたことのない音の冒険を仕掛けたバンドです。

その音はだから言葉で言い表せなかった。言葉から逃れるための音楽だったから、当然のこと。しかしそれは先鋭の最前線にいるがゆえに、私たちの日常レベルに相容れないことをも意味した。プチプチと脳細胞が刺激を受けて弾けていく快感の代償として、言葉に出来ないもどかしさを私たちは引き受けなければならなかった。

知的な興奮として機能する音楽がどこに落ち着くのか、誰もわからなかった。私たちは脳を覚醒していく中で新たな知的生物に進化していくのか。肉体や感情を捉えなおすことで、生身の人間としてやり直していくのか。その答えを待ち続けるのが、聞き手としてRadioheadの音楽に向かう動機だったわけです。

The Shinsは明快に後者を答えとして示した。メロディや情緒性への回帰。未知の領域を通過した先の新しい人間像。大胆に言い切ってしまうと本作のテーマはここにある。

もちろん、どんなジャンルにも属さない独自性を獲得しているサウンドです。ポップやロックやソウルなど、今まで音楽を語るときに用いられてきた概念のどれにも当てはまらない。にもかかわらず、今まで形容化されてきたなじみの音と同じくらい私たちの「腹に落ちる」。頭脳ではなく、感情として知覚できる。音の新規性を維持しながら、言葉に変換することなく理解できる安心感を、本作では感じることができます。

涅槃の音。そうなのかもしれません。向こう側に突き抜けないと聞くことのできないすべてから解放された平安の音。Radioheadから理念として示された新しい音楽は、遠く雲の上を飛ぶ青い鳥のように、私達は憧れて眺めるだけだった。The Shinsはその青い鳥を、私たちの両手の中に舞い降りさせ、はじめて実体としてのぬくもりを感じさせてくれているのかもしれません。


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