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The Clash - London Calling [Artist A-C]

もし今The Clashがいたら、きっとバグダッドでライブをやっている。
しかも、ありきたりのブッシュ批判をするのではなく、瓦礫の片づけを手伝いながら、イスラム・ベースの新しいポップ・ロックを演っているに違いない。

もちろん世界中から批判を浴びながら。
安易な政治プロパガンダ、素人の短絡行動、迷惑な楽観主義者、等々。

くやしい。そんなJoe Strummerを全身で支持しながら、それでも変わらない世界の中に、小さな居場所を見つけられただろうに。音楽を聴いていることがどれほど素晴らしいことかを今よりももっと強く実感できただろうに。

Joe Strummerの大真面目さを考えると、今を生きるアーティストやわたしたちの中途半端さ加減が露呈されます。巧みに自己保身を考えながら、やけどをしない程度の政治性や社会性を身にまとう。言うことはいっちょ前だけれど、安全圏からのポーズの感が否めない。もちろんそれ以上は誰も望まないし、誰もかかわりあいたくなんかない。熱いのは野暮だし、賢ければ賢いほど解決が簡単ではないことをわきまえている。

でもそれでいいのだろうか。
擦れて醒めすぎていないだろうか。

London Callingはめちゃくちゃポップです。
これはパンクではない。ニューウェーブでもないし、ダブ・レゲエでもない。あれだけセンセーショナルで、ラジカルなバンドでありながら、ここにあるのは純粋な音楽的楽しさ。30年以上経って、当時を覆っていたイメージの殻を一つ一つ取り除いていくと、真っ白なポップ・サウンドが姿を現す。本当に素晴らしいことです。

The Clashのリアリティは大バカなことです。
左翼も貧困もロックンロールも、悲しくなるくらいそのまんまに体当たりしていく。
Joe Strummerは非常に冷静で頭が切れるのですが、それゆえにあえてインテリ手法をとらず、物議をかもす手段を通して、ことの本質を露呈させていく。皮肉に浸るわたしたちの意地汚さをそのままあぶりだしてしまう。そのためなら自らを十字架にかける覚悟を持って。

London Callingが泣けるのは、壮絶な自己犠牲を払ってでもこのバンドが追求してるのが、単純な音楽だからです。シンプルで上機嫌な音楽。

彼らが本気で世界を変えようと思っていたかどうかはわかりません。
音楽の力をどこまで信じていたか、サンディニスタの思想をどこまで追っていけばいいのか、今となっては知るよしもありません。しかしそれはあまり重要ではない。

何よりもまず、まともな音楽を作ろう。
Lover's Rock、Revolution Rock。
愛よりも革命よりもまずはロック。
彼らがあれだけの大バカをやったのは、リアリティの最前線で活き活きと鳴るのは、音楽をおいて他にないことを示すため。少なくとも筆者はずっとそう信じています。


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deacon_blue

☆ 素晴しいレビューです。。。心の中で少し,泣きました。
by deacon_blue (2007-04-09 01:18) 

ezsin

ありがとうございます。
瓦礫を一つ一つ拾い集めるところに音楽が生まれる。
The Clashの姿勢は本当に純粋だなあと思います。
by ezsin (2007-04-09 22:49) 

記事が500を越えたのですね~おめでとうございます!!
文章から力強さが伝わってきます。
by (2007-04-10 22:25) 

ezsin

超えました~
なんか達成感。
いつもいつもありがとうございます!
by ezsin (2007-04-10 23:15) 

鯉三

クラッシュをこんな風に論じられるのですね。
パンクというくくりのみで彼らの音楽を説明するのは、音楽の力を軽視していることに他ならないのかもしれません。
by 鯉三 (2007-04-13 03:22) 

ushimadness_sugar

はじめまして。感動的なレビュー、読ませていただき感謝しています。
やっぱりクラッシュは、極めてシンプルな言い方ですが、めちゃめちゃカッコいいバンドだったと再確認しています。あの孤独感がたまらなく好きです。
それではまた、訪問させてくださいませ~。
by ushimadness_sugar (2007-04-14 08:15) 

ezsin

鯉三さん:そうですね。Clashはずっとパンクではないと思っていました。というか、彼ら自身、パンクで始まったけど、パンクが答えではないといの一番に気付いた人たちなのだと思います。
by ezsin (2007-04-15 00:31) 

ezsin

ushimadness_sugarさん、はじめまして。コメントありがとうございます。ものすごく支持を受けていたのに、ものすごく孤独感の漂うバンドでしたね。不思議です。たぶん、支持していたものみんなが孤独だったからなのかもしれません。これからもよろしくお願いします!
by ezsin (2007-04-15 00:34) 

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