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Low - Drums & Guns [Artist J-L]

「兵士も、赤子も、詩人も、みんな死ぬ」
空間を微妙に打ち振るわせるノイズに乗って、ザッザッと死の行進のようなドラムスが進んでいく。ここには叫びにならない叫び、涙にならない悲しみ、もっと原始的ではっきりとしない衝動だけが渦巻いている。

ザワザワした音の断片は、塊になったり離れたり、漠然とした動きを見せながら、かすかだけれども哀調を感じさせる。懐かしいような、寂しいような、感情のプラスとマイナスの境目を行ったりきたりする。

それでもボーカルはメロディを提示し、統制の取れたコーラスはある種の統合を想起させます。乱数的サウンドの混乱の中に引きずり込まれそうになるところを、はっきりとした詩の糸をもってわたしたちを引き留めてくれる。激しいコントラストの中で、一つ一つの言葉が重みを持って迫ってきます。

表現手段が多様化する中で、伝えるほうも受け取るほうも、選択肢の中で溺れてしまっている。メロディは激しく展開し、ビートは荒々しく流れていく。スタイルを選ぶスタイルに流され、そもそも何のために表現しているのかの本質が見えにくくなっている。

Lowはかなり次元の違うところにいます。じっくりと腰を下ろして音の振動に耳を傾け、湧き上がる感情の原点を見つめることで、表現する行為そのものを検証している。音楽が音楽になる前の状態を通して、大きな「なぜ」を浮かび上がらせている。聞き手のわたしたちも、この音の前では立ち止まらずを得ず、避けてきた疑問に向き合うことになります。

どの曲も潜行するような引力を湛えている。
「みんな死ぬ」
冒頭の一言の金縛りに遭ったまま、身動きできずに圧巻の時がただ流れていきます。


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