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Nine Inch Nails - Year Zero [Artist M-O]

明るい未来と暗い未来があります。
今から50年後はどうなっているかと考えたときに、もっといい世の中になっていると思う人と、果たしてそれまで世界が存在しているかどうかも怪しいと思う人。なぜかSFの世界では暗い見通しが多い。Bladerunnerであれ、Matrixであれ、Terminatorであれ、人類はたいてい崩壊寸前のヤバイ状況にある。統計を取ったらどうなのだろう。悲観的な人のほうが多いのではないかと思います。

Nine Inch Nailsの新作は、仮想未来の設定。
ズタズタのかなり暗い未来図がTrent Reznorの頭の中にはあります。
笑いも楽しさも微塵もない。黒一色の絶望的な展望が広がっている。
インダストリアル・ノイズはのこぎりのうなり声を上げて、わたしたちの理性を切り裂いていく。床を這いずり回るような重いビートは廃墟と化した風景を悲しく映し出す。救われないことを承知で放たれるTrentの声は、忘却の果てに消えていく。

しかしこれが圧倒的な力を持って迫ってくるのです。
定型化されたハードロックのスタイルとはほど遠いにもかかわらず、何の違和感もなく受け入れられる。ほとんど快感といってもいい。なぜなのだろう。

逆説的ですが、このサウンドは絶望と同時に、背中合わせになった「負けまいとする意思」を伴っているからです。暴力的な音はわたしたちに向けて放たれるとともに、わたしたち自身が手にして立ち向かっていく武器でもあるのです。

不快と快感。NINが常に追求している音のダイナミズムは、その両者が融合したところにあります。ぶち壊しと再生。相反する力が均衡を保ち得れば、新たな理性が生まれる。彼の頭の中には、そんな信念がある気がします。

悲観的なSFには必ずスーパーヒーローがいて、その救いがたい状況を解決してくれます。悲惨であればあるほど、途方もない力を持ったヒーローが必要になります。この設定は明らかに無理がある。救世主に頼るのはあまりに逃避的で、問いかけに答えたことになっていない。それを言ったら何だって解決しちゃう。

NINは救世主ではない。
何の解決策も提示してくれない。
しかしその音は何かを奮い起こします。
絶望的なエネルギーそのものが再生の力に転移する。絶望を突き抜けた先に、新しい感覚器官を持った生命体が生まれる。もしかしてそんな未来なのかもしれない。

彼らのサウンドを聞いていると、絶望も希望も意味のない言葉のように思えてきます。


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コメント 4

今月は、お引越しをしてネットできない時期があったので、またじっくり記事を読んで行きたいと思います。
今回の記事、なんだかとても納得させられました。まだ買ってないので、そのうちに。!!!は、今日買ってきましたが、とても気に入りました。しばらくひたすら聴き続けると思います。
突然つかぬことをお伺いしますが、サマソニに行かれるご予定などありますか?私は、これまで一度も行ったことがないので、今年こそ!と思いつつ先立つ物のことも考えつつ迷い中です。もし差し支えなければで結構ですので、、、。
by (2007-04-30 00:42) 

ezsin

サマソニか~。
今のところ予定は立てていないです。体力というか医師の許可(?)が下りるか心配ですが、確かに行きたいですね~。2日間で今の世界で何が起きているかわかっちゃうようなすごいメンツですし。ちょっと考えてみます。

ありそんさん、お引越しなさったんですね。!!!は引っ越し祝い?元気でますよね。
by ezsin (2007-04-30 02:06) 

昨日やっと買いました。夜、イヤホンで音に浸って、今日もしばらく浸ってました。時々、無性にハードな音を聴きたくなる時があります。遅れてはしまいましたが、私の今にはぴったりきてます。実際聴いた後に、こちらの記事をもう一度読ませて頂いて、すごく納得させられました!
ちなみに、色々考えてみてサマソニは諦めました、、、。
by (2007-06-10 23:48) 

ezsin

夜遅くなってから身にしみこむようなサウンドですよね。サマソニは遠くから応援することにしましょう・・
by ezsin (2007-06-12 00:17) 

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