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Felt - Ignite The Seven Cannons [Artist D-F]

むかしむかし80年代初期、もごもごとインディーシーンが勃興しつつあった頃、純粋にアコースティックな透明感を追求する一派と、思いっきり前衛的な音を求める一派がいました。Feltはアコースティック派にいながら、そこに収まりきれない奇妙でゆがんだ感性を持っていました。クリーンな音色を奏でる一方で、時々爪で引っかくような痛みを発していた。痙攣、癲癇、ヒステリー。普段の音がマイルドであるために余計に身につまされた。

思えば当時の自分も、棘をたくさん持っていた。

人とわかりあいたい、社会と折り合いをつけたい、未来を見極めたい。真っ当に伸びようとする意識と、分かり合えない、折り合えない、未来はないと抵抗する無意識。緑の茎に生えた棘は行く先々で人を傷つけるだけでなく、自分自身も痛めつけた。ヒリヒリに腫れ上がった心を抱えて、灰色の空をにらみつけていた。

Primitive Painters。
改めて聞いてみると、不思議と刺々しく感じない。
荒々しいタッチでキャンバスに向かって傷をつけあって描いた絵はどこに行ってしまったのだろう。長い年月の中で傷はふさがり、棘は丸まったのだろうか。

いや、たぶん今の自分の皮膚が分厚くなり、鈍くなり、心の温度が冷え切ってしまったに違いない。折り合いをつけていく中で、だんだんと棘を感じなくなってしまった。

これが本当に成長なのだろうか。何も感じなくなった自分の手を眺めながら、Feltの音の中に、忘れてしまった何かを探っている。


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deacon_blue

☆ こんばんは。この記事を見て,でも今も「心に茨を持つ少年」なのかなあ(スミスの歌詞は考えないで下さい。あくまであの曲のイメージ)と考えたりします。。。では(^o^)。
by deacon_blue (2007-06-03 23:33) 

ezsin

どこかには刺さっているのでしょうね。あまり気にしなくなってしまったか、痛みに慣れてしまったか。たぶん、ここに集う皆さんにはみんな刺さっている感じがしたりして・・
by ezsin (2007-06-04 00:39) 

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