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Timbaland - Presents: Shock Value [Artist S-U]

これは侵食です。侵略ではなく侵食。
ラップ、ヒップホップから、ロック、ポップスへの侵食。
宣戦布告ではなく、じわじわと気づかれないように乗っ取っていく。だから侵食のほうがぴったりくる。

Timbalandは、いまやあらゆる分野で名前を見かける売れっ子プロデューサー。アグレッシブな感触を程よくブレンドした実直な音作りが、時代の空気にマッチしているとともに、アーティストの個性をくっきりと浮かび上がらせるコツを得ているところが、支持されている理由です。

でも本作を聞いていると、かなりしたたかな野心が見て取れる。悪い意味ではなくて、「そうか、かしこい、うまい」とうならされるような。

Fallout Boyが歌う。Nelly Furtadoが歌う。でもここではアーティストの個性を尊重しつつも、Timbalandの手のひらで踊っていることが、はっきり見て取れる。もちろん、本人名義の作品だから当たり前なのですが、ゲストを「プロデュース」することを、着せ替え人形の衣装を変えるように自分の趣味として見せている。「FOBもJustin Timberlakeもこんな風に仕立ててみました」。言い方を代えれば、アーティストたちをプロデュースすることで、Timbaland自身を見事にプロデュースしているのです。

ポップスだとかラップだとか、区分けするのが意味ないなと思うくらい、自然に馴染みやすい音として誰の耳にも入ってくる。もちろんつまらない迎合した音ではない。いまや彼しか出せないアイデンティティをしっかり持った音としてです。だから誰も気がつかない。みんなこのサウンドプロダクションの魔力に酔っている。

恐るべしです。

唯一、取り込まれていないのはElton Johnです。
さすがEltonというべきか、やはりEltonというべきか。
プロデュースされることで、プロデュースに利用されることに、本能的に気づいている。

だから彼は歌わない。
ただピアノだけを、Timbalandにぶつけるように弾いている。
この音だけは取り込めないでしょ、と言いたげに。

「うーん、いいねえ、Elton!」
それでもムキにならずに、さりげなく流してしまうTimbalandの器の大きさに、ここは敬意を込めて軍配を上げたい。


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