So-net無料ブログ作成

The Dukes Of Stratosphear - 25 O'Clock [Artist D-F]

似顔絵が本物よりも本物らしいように、
モノマネ歌手が本物よりも上手なように、
The Dukes Of Stratosphearの60sサイケデリック・サウンドは、Beatlesよりも、Pink Floydよりも、Brian Wilsonよりも見事にサイケしている。告白すると、85年にほとんどパロディとして発表された本作のほうをよく聞いたし、未だに聞く。本家が不要かもしれないほどに。

彼らの正体はXTC
覆面バンドです。
80年代当時、いい加減に解釈されるサイケの扱いに憤慨し、「やるならちゃんとやれ!」という気合のもとに製作された2部作の1枚です(Chips From The Chocolate Fireballという2枚セットのアンソロジーがありますが、1枚目のジャケットが秀逸!)

背景にまつわる逸話はいくつもあるのですが、それだけこのプロジェクトがユニークであることを物語っている。まさにサイケデリックな出来事だったのです。

解釈は自由ですが、60年代に生み出された新たな表現様式の展開方法として、徹底的に追求されたものだと筆者は思っています。あのBeatlesですら、表現としての可能性を尽くしていなかった。本当はこういう音になるはずだったんだよ、というXTC一流の洒落を込めたオマージュであり、自慢なのです。

同時にXTCについていろいろと考えさせられる作品でもあります。
彼らは60年代サウンドを聞いて育った世代ですが、活躍の舞台は70年代後半からのポスト・パンク期です。さて、自分たちは何をやればいいのか。燦然と輝く先代の巨人たちの実績を前に、冷や汗をかいたに違いない。

しかめっ面と皮肉な笑いを交互に浮かべながら、じたばたと奇妙奇天烈なサウンドの旅をひたすら貫いていったXTCが目指していたのは、サイケに匹敵する自分たちの時代の新しい音楽を、自分たちで確立することだったんだなあ、と。

LSDとヒッピームーブメントという強力な後押しのあった60年代と比較して、百花繚乱、バブルと衰退の複雑な世相の中で、彼らの戦いはひたすら孤独だったのだろうなあ、と。

自分たちが受けたインスピレーションを封印し、潔くオリジナリティと同時代性にこだわった彼らが、創造のジレンマの中でたまらず作ったのがThe Dukesだった。覆面に隠れてでもそれをやらざるを得なかった彼らの複雑な思いに、多大なシンパシーを感じます。だってこれだけすごいものを作れる力を持っていたんですから。

思えばBeatlesもStonesも、最初は単なるコピーバンドだった。
衝動のおもむくままにロックンロールやブルースをやっていく中で、だんだん才能を開花させ、進化していった。最初からSgt Peppersなんて生まれようがなかったのです。

対して、いきなりBeatlesが頓挫したところからスタートし、死ぬほど好きなサイケに頼らず、前に向かって猛然と突進していったXTCは、思えばとても不幸なバンドです。くそまじめで、頑固で、無茶です。

まあ、だからこそ、こんなにも「ダサかっこいい」バンドは他にいないんですけどね。


nice!(1)  コメント(2)  トラックバック(0) 
共通テーマ:音楽

nice! 1

コメント 2

deacon_blue

☆ あのジャケット見るとビートルズの『オールディーズ』やXTC『オレンジズ&レモンズ』のジャケットを思い出します。XTCの変名ではThe Three Wise Men(東方三賢人)というグループ名でのクリスマスソングがあります(ヴァージンのシングルのみ)。
by deacon_blue (2007-10-12 01:22) 

ezsin

いろんなことを想像させてくれる楽しいジャケットです。
XTCの変名遊びも同じくらいサイケで楽しいです!
by ezsin (2007-10-12 21:52) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0