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Joni Mitchell - Shine [Artist M-O]

いきなりですが、
人生は待つことだと思う。

わたしたちは生涯にわたって2つのことを待っている。
ひとつは必ず来ないことを、もうひとつは必ず来ることを。

ひとつは、夢がかなうこと。
幸せになることといってもいい。
毎日ベッドから起き上がって、電車に乗るのも、ご飯を食べるのも、公園で遊ぶのも。生き続けようとするのは、その先に幸せが待っていると思うからです。

夢がかなうことはありません。
いつまで待っていても実現しない。
「かなった」と充足する夢は本当の意味での夢ではない。
生き続ける限りは、その先の次の夢を追い求める。
わたしたちの先には、見果てぬ夢の回廊がどこまでも無限に続いているのです。

夢は待つものではない、自分でつかみにいくものだと言われます。
常に追い求める能動的な姿勢が理想とされます。
もちろんそうですが、そうとも限らない。
プロセスとしての努力に満足するのと、結果として受け入れる運命とは別物。
つかみにいこうが、あきらめようが、何かを待っている事実は変わらない。
徹底的に追い求めた先に悟るのは、わたしたちは待つしかないという受動的なあり方なのではないでしょうか。

もうひとつ待っていること、それは「死」です。
死は必ず訪れる。
明日かもしれないし、5ヶ月後かも、30年後かもしれない。
どれだけ招かざる客であっても、例外なくやってくる。
意識しようと、意識しまいと、わたしたちの時間軸を支配している。
生まれてからずっと、わたしたちは死の瞬間を待っている。
じたばたするか、少しでも先に延ばそうとするか、忘れるか、気にしないか。
どのように死を待つかが、人生そのものだと言えます。

Joni MitchellのShine。
深く、静かで、豊かで、形容しがたいほど崇高なサウンドを聞きながら、上のようなことをずっと考えていました。

長いキャリアのすべてがここには含まれています。フォーク、ジャズ、メロディ、リズム、カントリー、ギター、ポップス、エスニック、サックス、ベース、ロック、ハーモニー。音楽の要素の一つ一つが、30年物のウィスキーのように、じっくりと、境目も、角もなくなるほど熟成されている。熟成されなければ表現できない世界を彼女は作り上げている。

彼女は声高に世界一になろうなんて叫んでいない。
音楽のフロンティアを切り開いていこうと、いきり立ってもいない。
戦争のない平和な世界を請うこともしない。
彼女はまた、世界を憂えてもいない。
死も意識していないし、怖がってもいない。

達観した音を通して、すべてを「待っている」。
来ない夢を待ちながら、
来る死を待ちながら、
静かに「待つこと」を音にしている。

思い込みかもしれませんし、勝手な解釈かもしれません。
でも筆者には、こんな次元にいるアーティストを他に知りません。
待つことをこれだけ的確に表現してくれる音楽を他に知りません。

それが輝く(Shine)ことなのだと教えられます。


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これ、とても気になっています。shineの意味の深淵を覗いてみたいです。(ちょっと恐いですが、、、)スタバで販売してますね。
by (2007-10-25 01:35) 

ezsin

最近はスタバがすっかりメジャーレーベル化しているというか、音楽の「良心」みたいなところがありますね。Shineの真意まではなかなかたどり着けませんが、浸っているだけで勉強になる気がします。
by ezsin (2007-10-25 08:08) 

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