So-net無料ブログ作成

Jeffrey Lewis - 12 Crass Songs [Artist J-L]

Jeffrey Lewisはニューヨークの香りがぷんぷんする、それも60年代のファクトリーからLou Reedまでの、ささくれ立った表面の裏にある虚無の風を感じさせる、Anti-Folkアーティスト。とカテゴライズするのは便宜上。いつもジャンルやムーブメントで語るときは胸が痛む。型にはめるつもりはまったくないのに。

音楽の前に言葉は無力です。

おそらく最後の未発見の宝と呼びたくなる。
例えばThe Chelsea Hotel Oral Sex Songの歌詞の素晴らしさなどは、形容しがたい。ネット探してもどこにも見当たらず、著作権の関係上、ここにも記せないのが、本当に歯がゆく、それがまた実にJeffrey Lewisらしい。どこかで見かけることがあるならば、無条件で入手することをお勧めします。

音楽の中にある言葉の力は、無限なのです。

さて、Crass。
70年代末から80年代にかけて、政治的な理想主義を掲げ、パンク真っ只中に「すべてが虚構」とPunk Is Deadと叫びながらデビューし、商業手法を排し、自給自足のコミュニティに身をおきながら、予告どおりにきれいに解散した、悲しいほど芯までパンクに染まった美しいアイコン。

2007年にあえてJeffreyは、そんなCrassの12曲を取り上げて、じっくりと眺め、自分の糧として食し、淡々と演奏している。

静かで、ぶつぶつとつぶやき、ストリングスがきれいで、ざわめくノイズが心地よく、寒々しい感触がぬくもりに感じられ、コーラスは温かいウィスキーのようにのど元を通っていく。彼の作品にしては「ちゃんとした音」にプロデュースされているのが、かえって皮肉。いつもは自宅に置いたテープレコーダーに向かって語りかけているだけなのに。

「System、System(体制、体制)。すべては体制が悪いのだ。
オレたちはくずで、無力で、大量生産のキラキラパッケージ・・」

じっと眺めれば、なんとも稚拙で、青くて、原始社会主義的で、短絡的。
あの時代、あの喧騒は一体なんだったんだろう。

しかしJeffreyは、批判も皮肉も断罪もしない。
冷徹に、しかし慈しむように一つ一つを丁寧に紡いでいく。
例え2007年においてCrassの主張がこっけいで、無関係で、ずれていて、可笑しくても、あまり関係ない。たぶん、そんなところを見ていないからです。

主張の是非や、音のかっこよさや、ムーブメントの意義などはどうでもいい。見えているのは何かをしたいと思う人間と、あがいて、もがいて、消えていく日々の営み。なんて美しいんだろう、なんてきれいなんだろう。まるでミニチュアの地球を宇宙から眺めているように、小さな電車が走る町を空から眺めるように、私たちの生きている姿を観察する。

Jeffreyはいつも、この世にいる人としてではなく、窓の外の空気として、頭の中の神経細胞として、じっと私たちの姿を見つめ、記録している。人間とはこういうものだ。彼が言いたいことは、たぶんそれだけです。私たちが知っておかなければいけないことも、たぶんそれだけです。


nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:音楽

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0