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James Taylor - One Man Band [Artist S-U]

カフェでいつものように打合せをしていると、相棒がポツリと言った
「未来って誰にもわからない」
聞き慣れたセリフのようで、妙に真に迫ってきた。
たぶん、今まで以上に未来のことがわからなくて、不安なのだからだと思う。仕事のこと、その人との関係のこと。ただ単純に明日のこともわからない。こんなことは、でも、昔からあった。

James Taylorをはじめて聞いたのは確か中学か、高校のころ。それくらいはっきりしない。音楽に目覚めたのは、自分の言葉だとか、自分の考えをつかみかけた時期と一致する。周りが見え始めたころ、人のことが気になって、社会のことがだんだんわかってくるころ。

アメリカン・ポップスから入って、だんだん激しいロックに移行していった。FENのトップ40にかじりついていたのが、だんだん中古レコード屋を徘徊するようになった。James Taylorは、無邪気なままの筆者をやさしく招き入れてくれて、不良になって飛び出していくのを、引き止めたりはしなかった。笑顔で聞き込んでいたのが、しかめっ面になって敬遠するようになった。

人のことを好きになったのは、アメリカン・ポップスを聞き始めた頃。
人のことを批評するようになったのは、ロックにはまりだした頃。
勝手に伸びていく自我をもてあまし、日常と折り合いを付けていくには、激しい音のひずみを、どうしても必要とした。もちろん、そのときから思っていた。

「No Future。未来はない」

あれからひとまわりか、ふたまわりくらい時が経つ。
未来を見ようとしないで意地を張ってきた時間を振り返りながら、
再びJames Taylorを聞く。

もう一回、入り口からやりなおしかな。

成長が止まって動脈硬化を起こしかけている自我。
批判する相手もいなくなった細々とした人間関係。
中古レコードが物置の棚の中で化石化していく中、
改めて未来ってなんだろうと考える。

James Taylorの歌声は昔のまま。
静かに、落ち着いて、淡々と歌っている。
ライブ録音。
やはり、聴衆を迎え入れるように歌っている。

家を飛び出し、あてもなく世界を駆けずり回った挙句、へとへとになって帰ってきた自分を、何事もなかったかのように、その歌声で迎えてくれる。あのときからこの瞬間を見ていた気がする。いや、あのときも、このときも、きっとない。入り口としてあるべき音をずっと鳴らしてきた。

誰かが迎え入れなければいけない。
優しい門番の役割を、もうずっとこの人は引き受け続けているのです。

さて、明日はどうなるのだろう。
James Taylorは何も教えてくれない。
その代わりにもっと大切なことを教えてくれる。

未来はあるけれども、誰にもわからない。
未来はあるし、歌もある。
そこからはじめれば、いいじゃないか。


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