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The Flying Lizards - The Flying Lizards [Artist D-F]

突然ポンと何の脈略もなく現れ、パッと消えてしまう。
70年代に存在した音楽種の奇形、突然変異、できそこない、愉快な実験、フリーマインド。

ポップやロックや民族音楽やオペレッタなどの断片を断片のままで寄せ集め、軽くてスカスカの造形物らしきものを構築する。そこに「中身」はなくて、形式としてのプロセスや、存在の希薄さだけが、ユーモラスな笑みを浮かべてたたずんでいる。何の意味があるかではなくて、何の意味もないことが価値として成立する稀有な作品。

じっくり聞いてみれば、オープニングのドイツ語のわめきはBjorkの前触れであり、ノイズとビートの遊び方はStereolabを先取りしている。解体されて体をなさないまま、不気味なグルーヴを生み落とすSummertime Bluesや、かたくなに音楽らしさを否定するMoneyなどは、ポップミュージックへの挑発か、嘲笑か。

答えを出さないまま、居心地の悪さを聞くものを与えて消えていくThe Flying Lizards。あらゆる音楽が実験されてしまった現代において、フリーでいることの意味を改めてこのバンドに照らし合わせて考えてみるのがいいのかもしれない。

考えれば考えるほど重くなっていくものを、あえて軽くする。
考えれば考えるほど深刻になっていくものを、思いっきり笑う。
The Flying Lizardsはポーズとして考えるふりをしながら、わたしたちの重荷を軽くし、世の中を笑っている。実験しつくして、この世に中身なんてものがないか、ほとんど価値がないとわかってしまった今、彼らの音が妙に新鮮に感じるのは偶然ではない。

本作をいくら聞いても、何の印象も心に浮かんでこない。
その不安はやがて、ひとつの新しい認識へと移っていく。
印象に溢れかえっている現代。
過剰な印象に溺れている現代。
そろそろ気付こうではないか。
印象なんていらない。
中身なんてないんだから。

もはや印象派の時代ではないのです。


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コメント 2

学生のころ、結構真剣に聴き込みました。シュールで寒々とした世界でも不思議にポップでした。ビートの刻み方など、いまでも全然通用するのでは。また聴きたくなりました。
by (2008-01-15 23:05) 

ezsin

十分今でも通用しますね。ayumusicさんおっしゃるとおりビートの使い方は時代を超えている気がする。人を喰ったポーズも最高です。
by ezsin (2008-01-16 23:34) 

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