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The Young Republic - 12 Tales From Winter City [Artist V-Z]

それほどまじめに取り上げるべきことではないのかもしれませんが、気になるのでコメントしておきます。

Led ZeppelinやPoliceの再結成公演の成功にあわせて、「現代の音楽が昔ほどロックではない(英SUN誌)」とか、「衰退するいまのロック音楽(iza)」などの論調があります。

一方で最近の音楽に関しては、iPodやiTunesに代表されるように、ファッション化する聴取スタイルや、配信による新しい流通モデルなどビジネス面ばかりが強調され、正面切って「ロックとは」などと論を張る人はほとんど見受けられなくなりました。

だからといってロックがだめになっているわけではない。

ちょっと整理しておく必要があります。

確かにZeppelinのようなサウンドは見受けられなくなった。
でもそれはあんな音を出せるアーティストがいないからではなく(もちろん、そういう部分もありますが)、あそこまでどでかい音を、現代は必要としていないからです。

Policeほどのユニバーサルなビッグ・ポップも今はない。
これもStingほどのソングライターがいないからではなく、そんなに大仰なポップを、さほど多くの人が求めていないからです。

かつて大型の豪華客船が作られ、巨大な飛行船(!)が作られ、優雅な旅がもてはやされた時代がありました。現代にそのような巨大な建造物が見受けられなくなったからといって、旅行が廃れてしまったわけではありません。たとえ窮屈なエコノミークラスの飛行機に詰め込まれる時間があったとしても、一人ひとりの思い描く、細部にまでこだわった、無理のない、理想的な旅行が実現している。旅を提供する側も、エンジョイする側も、格段に進化しているのです。

拡大成長期には、許容力の大きな推進母体が必要となります。すべてが新しく、まだ見ぬ明日が無限に広がっているときには、みなで寄り添って大きな進化を遂げようとする。壮大な未来を切り開いて見せることに、みなで共感できた。

しかし地平線を征服し、先に進むより、今立つ位置をしっかりと確かめるようになると、一人ひとりの「個」の意識が強まり、求めるものも多種多様化してきた。マスカスタマイズの方向性は、社会の成熟がもたらす当然の帰着です。

ビッグアーティストの問答無用の作品を正座して聞き、次作まで3年間じっとがまんして待つような時代は去りました。同じような音が無数に存在する中で、よりきめ細かく自分の好みに合う音を選択し、日替わり、分替りで聞き繋いでいく。パーソナルツアーのように、自分だけの音楽体験を設計できるようになったことは、衰退どころか、画期的な進化に他なりません。

そんな時代情勢の中で、「ロック」の再認識が必要です。
ラウドでエキセントリックで扇動的な社会現象と結びつく部分ばかりが取りざたされますが、昔も今もロックの本質は変わらない。
それはアーティストと聞き手との一対一の関係の中で、「生き方」すなわち「社会との落とし前のつけかた」が劇的に変化・発展していくことで、突き詰めればきわめてパーソナルでプライベートなものです。

きめ細かく、個人個人のニーズや気分や時間帯に寄り添うようにして音楽が聞かれる現代は、ロックとしてのリアリティが格段に増し、多様に進化発展していると捉えるべきなのです。

例えばThe Young Republic
60年代のフォークから、カントリー、90年代インディーなど多種多様な影響を感じさせる繊細なサウンドは、何も大きなうねりは生み出さない。野外フェスで死者は出さないし、世界同時中継されることもない。分散して拡散していくように見える小さな音の印象は、しかしどこかで誰かのわずかな時間に引っかかり、一歩か二歩、その人の人生を確実に動かすのです。

ダイナミズムから、日常のリアリティへと移行したロック。
それを物足りないと思うかもしれません。
しかし、悲観することはありません。
筆者が肌身離さず持ち歩くiPodには、250以上のアーティストの4000近い曲が入っています。分単位で生き方を支えてくれているのは、これだけの数の小さなリアリティの集合体です。一人の夢のスーパースターに漠然と託していた未来を、今は小さな戦士たちが引き継いでくれている。そんな現代ロックのあり方に、筆者は揺るぎない信頼を寄せています。


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