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Lizz Wright - The Orchard [Artist V-Z]

引越しが多いと、様々な処世術が身につく。
筆者の場合は、関東と関西の行ったりきたりが多かったので、東京弁と大阪弁の切り替えがうまくなった。

大阪で標準語を話していると、「なに気取ってんねん」と言われ、東京で関西弁が少しでも出ると、だまって笑われる(うわーいやな印象)。多少、自意識過剰なところがあったにせよ、お笑いの架け橋がかかる前は、そんな世界だった。

あとは友達を作るために、あまり目立ちすぎないこと。前いたところの話だとか、「ここ」の変わったところとか、誰も知らない遊びとか、話さない。
新参者は、最初は面白がられる。
「ねえ、ねえ、なんてところから来たの?」
注目の的だからと調子に乗って話していると、やがて煙たがられる。

みんなはみんなで築き上げてきた世界がある。大切にしている仲間だし、あうんの呼吸がある。その場所その場所の文化を尊重すること。目立たない間に、慎ましやかにそれを学び、自然と溶け込むこと。

深入りしないこと。
別れは突然やってくる。
「え?また転勤なの?」
父親の仕事の都合で、転々とする。
最初からわかっていることもある。
だから、真剣に付き合わない。
一生懸命、仲良くなろうとしても、仲良くなった後に、どうせ別れちゃうんだから。

そんな生活がいやだったかというと、
そんなことはない。
新しい土地を知って、
新しい人に出会って、
いやな思い出からも立ち去れて、
意地悪した相手の顔も、
見なくてすむ。

その後、父が落ち着くようになると、ずっと同じ場所にいるのがつまらなくなった。どこか知らないところに行きたい!もうこいつらの顔を見るのも飽きてきた!

移動願望が根付き、
浮気性の人間関係が身についた。

それが自分だから、
何とも思わない。
何とも思ったところで、
しょうがいない。

Lizz Wrightは、ゴスペルの香りがすごくする。
母性的で、敬虔で、土っぽい安心感。
彼女はブルースを歌ったり、ソウルだったり、フォークだったり、カントリーだったり。七色の風景を次々に渡り歩いていくけれども、浮き沈みのない、地平線のような静けさがある。

筆者にはない、よりどころとしての基盤があって、
いちいち揺らがない、確固たる自分がある。

彼女はきっと転勤族じゃなかったんだ。
いや、ひょっとして筋金入りの転勤族だったのかもしれない。
こんな平穏は、じっとしていたら身につかない気がするから。

こんな風にやってこれたら、
本当はよかったんだろうなあ。

転勤族の少年は、
ずっと寂しかった。
見るものみんなきれいだったけど、
どれもこれもが人のもので、
自分のものじゃなかった。

移動を続けるのは、
今の場所がつまらないからじゃなくて、
居場所がないから。
自分の場所じゃないから。

Lizz Wrightを聞くのは、
せめて音楽の世界の中では、
居場所がほしいからなのだろうか。

いや、きっと違う。
遠い地の、知らない音を求めるのは、
やっぱりじっとしていられないから。

Lizz Wrightのオアシスで心を休めたら、
また旅立つのさ。

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